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チートだと思ったら・・・・・・
十話
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「おおおぉぉぉおおおお!!」

作っては射出、作っては射出……この繰り返し。相手の攻撃を受けぬために軋む体を動かしながら、その作業をひたすら続ける。弾かれることは多少あれど、外すことは決してない。エミヤの弓術の恩恵が、ここにも表れている。ならば、恐れることは無い。ただ敵を、打倒するのみ!

「壊れた、幻想ぉ!」

全身から剣を生やしながらも捨て身で向かってきた鬼。その体を壊れた幻想で粉々に吹き飛ばす。宝具には届かない物ばかりだが、それでも聖剣魔剣の類。10も突き刺さっていればこの場にいる鬼程度を葬れぬ道理はない。

「これ以上やらせるなぁ!」

周囲を奮起させる声を出している。だが、それがどうした。俺が持つのは無限の剣。貴様等程度に……

「負ける筈がない!」

俺は頭上に、何度目になるか分からない剣軍の投影を行った。





「すご、い」

目の前の光景に驚きを隠せない。一時はこれまでかと思うほどだったというのに、宮内健二が立ちあがってから、状況が一変した。生み出される数多の剣。どういった原理かは不明だが、驚くほどのスピードそれらは打ちだされていく。最早、自分と明日菜さんに向かう異形は存在しない。宮内健二こそを最大の障害だと、全勢力を持って打倒しにかかっている。

「…………」

言葉が出ない。全勢力……全勢力だ。異形の討伐こそを本業とする神鳴流、その自分ですらこの鬼達全てを同時に相手取ることはできないだろう。それを、実力で自分に劣ると判断していた男がなしているのだ。戦いには相性がある……だが、そんなものでは片付けられないものを、宮内健二に感じていた。





「しつ、こい!」

息をするのも許さんと言わんばかりの波状攻撃。一度にかかってこれる数は剣軍の数よりは少ない。だが、全ての相手を一撃で葬ることは出来ない。故に手数が足りない時がどうしても出てくる。戦いの歌はもう三分も持たないだろう。ならば、次の手を切るまでだ!

――投影、開始!

投影するのは「宇宙を塞ぐ者」を意味するインド神話のアスラのひとり、ヴリトラを打倒せし投擲宝具! その名を……

「ヴァジュラ!!」

雷を纏いて射線上の敵を貫き、森に着弾。轟音をたててクレーターを作り上げる。その威力に、鬼達も驚き、動きを止めている。この分なら……

「さぁ、次はだれが喰らう?」

はったりも効くかもしれない。
その矢先のことだった。パス、と言う乾いた音を立てて何かが一体の鬼の頭を貫いた。

「これは……」

アーティファクトのおかげでその何かを視認出来た俺は視界を広げ、透視を行う。
……見つけた。二時の方向距離200、15秒後には接触だ。

「明日菜、桜咲……喜べ、どうやら援軍のお出ましだ」

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