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チートだと思ったら・・・・・・
十話
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交わす。込める思いは桜咲に任せるという信頼だ。

「分かった。お嬢様は私が必ず救い出す。……ネギ先生、明日菜さんこれまでありがとうございました」

「せ、刹那さん?」

今の言葉に込められた不穏なニュアンスを感じ取ったのか、明日菜が刹那へと歩み寄る。だが、刹那は明日菜から逃げる様に歩を進める。

「この姿を見られたら、お別れしなくてはなりません。でも、それでも……あなた達が相手なら」

桜咲の背から現れる純白の翼。正直、目を奪われた。この危機的状況を一瞬とはいえ忘れてしまうほどに……それほど、桜咲の翼は美しかった。ネギと明日菜も俺と同様に、見惚れているわけだが……桜咲はそれを畏怖からくる沈黙だと思ったらしい。悲しそうな顔をして、身を振わせる。

「私は、奴等と同じ化け物なんです。そして、お嬢様に拒絶されるのが怖くて打ち明けることもできない弱い女なんです!」

桜咲の目から涙が一つ、二つと零れおちる。俺は何も言わない。言うべきではない。桜咲は俺の信頼に答え、自身が嫌うその姿を曝してくれた。なら、今度は俺が答えるまで。

「刹那さん……きれいな、翼だね」

「……え?」

「本当、きれいな翼」

近寄り、手に取り、優しく触れる。予想外の行動に桜咲はされるがままだ。

「それに、温かい。刹那さん、この翼で、このかを助けてあげて」

「わ、わたしは……」

「刹那さん、”私達の親友”は、この位のことを気にする子じゃない。そんなこと、私達が一番良く知ってることでしょ? だからお願い、ね」

「は、はい!」

翼に力が宿る。桜咲の顔には先ほどまでの悲痛なものは欠片にも存在しない。今の桜咲は最高の状態だ。そして、その状態に桜咲を持っていったのは……

「どうかした?」

「明日菜、お前って奴は……最高だ!」

俺が惚れた、最高の女だ! 明日菜が思わず惚れ直す様なものを見せてくれたんだ。今度は……

「邪魔してんじゃねぇよ」

桜咲に対して何らかのアクションを起こそうとするフェイトの左手を射抜く。気を引く事を目的に射ったため障壁に弾かれたが思惑通りに桜咲へのアクションは止まった。さぁ、俺が頑張る番だ。

――I am the bone of my sword.

俺が切れる最強の手札。万が一のために、俺はソレの準備を開始した。

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