暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
鍛冶屋
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たものの、紅衣の少年は涼しい顔で首を振り、想像とまったく違うことを言い返してきた。

「ううん。ちょっと武器の強化を頼みたいんだよ」

「えっ……でも………」

戸惑いの声を出し、あたしは少々不躾ながらも再び目の前の少年の体を眺めた。

サイズが大きめのフードコートの背や腰などには何もない。手は、着物のように広くなっている袖の中に隠れていて見えない。

コートの中に短剣をしまってあるのか、主武器にしているプレイヤーは少ないがチャクラムやブーメランなどの飛び道具なのか。

そう判断したあたしは、

「えっと、どのような品でしょうか?」

そう訊いた。

紅衣の少年は、あたしのその言葉を聞いて初めて気付いたように恥ずかしそうに笑った。

うーん、可愛い。

「あっ、ごめんごめん。まずは見せないとだよね」

そしてその少年はカウンターの上に、袖口から出した不思議な物体を置いた。

それを見た時、あたしの脳裏に浮かんだ言葉は一つだった。

すなわち、はんぺん?と。

少年がカウンターに置いたそれは、まさしく漆黒で若干長方形のはんぺんだった。

縦四センチ、横六センチ、薄さ一センチ弱と言ったところだろうか。色は前述の通りの黒だ。

当然ながらこんな武器は、マスターメイサーのあたしも見たこともない。アイテムかな、と一瞬思うが強化したいと言う少年の言葉を思い出し、その想像を打ち消す。

「…………これ何?」

しまった地の口調が出ちゃったと思うが、幸いその少年は気にした風も無く言う。

「僕の武器だよ?」

……………うーん。

一瞬浮かんだ《店外に放り出す》コマンドを打ち消す。ついでに浮かび上がりかけていた《怒鳴りつける》コマンドも打ち消す。

しかし、このはんぺん(少年が言うところの武器)でどうやって戦うのだ。

投擲系の武器にしては突き刺すべき尖ったところも、斬るべき刃部分も見えない。

「武器って………これでどうやって攻撃すんのよ」

もう地の口調を隠しもせずぼやきながら、あたしはとりあえずその謎の物体を手に取った。

手に取ったそれをためすすがめつしていると、あたしはあることの気付いた。

その物体の一センチ弱の四つの辺。その一つの角っこに穴が開いていたのだ。

それを思わず覗き込んでいたあたしに横合いから幼い声がかけられた。

「あっ、おねーさん。見るのはいいけど、それ絶対に振らないでね」

それを聞いて、いよいよあたしの頭にははてなマークの嵐が吹き荒れた。

振らないでね、と言うことは、これは振ることによって攻撃する武器なのだろうか。当然ながら、あたしの脳内の武器名鑑にはそんな武器はない。

しかもここは《圏内》なのだ。振ったこ
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