暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
鍛冶屋
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屋であれば《ブラックスミス・ハンマー》である。これは武器の創作、強化、耐久度回復(メンテ)に必ずと言って言いほど必要な物だ。

しかし、今現在の問題点はそこではない。

まったくもってそこではない。

問題はそんな《ブラックスミス・ハンマー》もアイテムであり、立派に耐久値が設定されていることだ。

耐久値があると言うことは、つまり他アイテムでの耐久値減少が可能だと言うことだ。

このことからどのような結果が得られるかと言うと――

ザクッ

こうだ。

あたしの手に握られているのは、立った一撃叩いただけでぼろぼろになったハンマー。叩いた表面に、きれいな傷跡が刻まれている。

その傷跡を少年の鼻先に突きつけながら、あたしは言う。

「ほら!普通のハンマーだったら、まともに叩くこともできないのよ」

……………ん?普通のハンマーだったら?

何かがあたしの頭をよぎった。

あたしは、その尻尾をむぎゅう!と捕まえて、そろそろと手繰り寄せている間にも、血色のフードコートを着た少年は、だよねえー、と漆黒のマフラーの下でため息をつき謝礼を言い、出て行こうとした。

その小さな肩を掴む手があった。他ならぬあたしのだ。

「………待ちなさいよ」

我ながらドスの効いた声が出てしまい、出て行こうとしていた少年の肩がびくりと震える。

いかんいかん。

恐る恐ると言ったような感じでゆっくりと振り返ってきた少年に向かい、あたし――鍛冶屋リズベットは肩を掴んだまま

「もし超強力なハンマーの獲得クエ知ってるって言ったらどうする?」

言った。
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