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SAO─戦士達の物語
SAO編
五十二話 夢想の子
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そうプログラムされているか、上位の方が間違っているので無い限りは“絶対に”有り得ない。
何故ならシステムと言うのは、上位プログラムの命令に対して下位のプログラムが従い、正しい反応を示すと言う事を前提にして成り立って居るのであり、プログラム達がどこもかしこも上に逆らって自分勝手に行動していたのでは、そもそもプログラム自体の存在意義が無いからだ。

 しかしユイはと言うと、システム側が「一切のプレイヤーへの干渉禁止」を命じたにも関わらず、自身の持つ「あの二人(キリトとアスナ)の近くに居たい。直接自分と話して欲しい」と言う欲求に従い、上の命令を無視してまでキリト達の近くに実体化した。

 つまり、ユイにはシステムの命令を無視してでも自分の欲求に従おうとする力。“自我”がある事になる。
そして今のように、感情と自我が一つの身体にある時、そういった者が持つ物を人間はこう呼ぶのだ。

「心……ってな」
「ここ、ろ……」
 リョウが言った言葉を、ユイは胸の上で両手を重ねて戸惑ったような表情で繰り返す。

「私は……こんな、偽物なのに……心なんて……」
「どうしてそう意固地になるかな……」
 未だに後ろ向きな事を言うユイに、リョウは右手で額を抑え……

「…………!」
 その手を、ユイの頭にポンッと言う音と共に置いた。
そのまま膝を曲げてしゃがみ、ユイとリョウは目線を合わせる

「あのなぁユイ坊。別にお前がプログラムであることと、お前が偽物だって事はイコールじゃねぇんだぞ?」
「な……何を……」
 ユイは自分が人間ではなく。あくまでも一つのプログラムでありAI《人工知能》だと言うことを自覚している。
故に、自分の身体と思考パターンの全ては人工的に作られた物であり、決して目の前にいる彼ら人間のそれには成り得ない事も分かっていた。
だからこそ、辛かろうと自分の事を偽物と呼んだし、それによって彼らに拒絶されたとしても全て受け入れるつもりだった。
自分は人ではない。人ではない癖に、張りぼてのような身体と作られた精神で、アスナ達に近づき、理性が殆どなかったとは言えずっと皆を騙していたのだ。

償うには、丁度良い。

そう思って居たのに……今自分と目線を合わせて話している青年は、その理由も意味も全て無くしてしまおうとすらしている。
その事に対してユイは激しく動揺するが、反論しようにも上手く言葉が出ない。

「お前が何をもって自分が偽物、俺らが本物って言ってるかは知らんけどな?今のお前と俺達の違いとか、かなり小っさいぞ?俺達にはリアルの身体があって、お前は無い。それだけじゃん?」
「う……」
「感情が作り物で偽物だ?そんなこたねぇよ。此処にゃそう言ってやれる奴が三人も居んだから。自信持て」
「そうだよユイちゃん。あなた
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