SAO編
四十九話 過ぎゆく夜
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しくなるように、声をかける。
『違うんすよ。サーシャさん』
『え…………?』
泣いて赤くなった眼を此方に向けて怪訝そうな表情をするサーシャに、リョウはゆっくりと続ける。
『彼奴は確かに、この教会も子供達も大好きでした。それは、俺自身彼奴から嫌んなるくらい聞かされてたんで、知ってます。けど……あいつが死んだのは、そう言う事じゃありません。もっと、もっと別の事なんです……』
『じゃあ……貴方は……』
『俺は……彼奴が死んだ時、一番、彼奴の近くに居て、それを看取った人間です……すみません。俺は、何も……』
驚いたようにサーシャが目を見開き、リョウは頭を下げたまま上げようとしない。
そのまま数秒間の重たい沈黙が流れ……先にサーシャの方が、口を開いた。
『頭を……どうか頭を上げて下さい』
『…………』
『あの子が、どんなふうに逝ってしまったのか……それは知りません。でもあなたはあの子を……シュテルを死なせてしまった事を後悔しているのでしょう?』
『それは……』
後悔が無い。と言えば嘘になるだろう。しかしそれは……
『あの子が居なくなった事を一緒に哀しんでくれるのなら……私に貴方を恨む理由なんか有りません……シュテルの事は……本当に、残念でした……』
『……すみ、ません』
それを最後に、リョウはその場を立ち去ってしまった。
それ以上、サーシャとまともに向き合っていられなかった……
────
「……くそ」
リョウは、自問自答する。自分はあの時の事を後悔している?
確かに、そう見えたのだろう。自分でも、そのつもりだった……だが……
『──シュテルを死なせてしまった事を後悔しているのでしょう?』
『──自分のやった間違いを哀しめる人が──』
つい先程に聞いた言葉と、いつか聞いた言葉が、頭の中でぐるぐると回る。
自分ではそう思っている。否、そうで有りたいとすら思っている自分が居る。しかし……本当に、そうなのだろうか?
「俺、は……」
リョウには、分からなかった。
自分が──
「おいちゃ?」
「ん、お、あぁユイ坊か。何だよ?起きたのか?」
ベットの数が四つであったため、アスナに寄り添われて寝ていたはずのユイが、いつの間にか自身の真後ろに立っていた。
微かに外から差し込む月灯りがユイに当り、そのつややかな黒髪と白い肌に反射する姿は、微かな眠気の中で、まるでこの世界には居ないはずの妖精ではないかと思ってしまう程に美しく、幻想的に見える。
しかし、続いた一言は、そんなリョウの意識を、一気に覚醒させるには十分過ぎるものだった。
「おいちゃ…………かなしいの?」
「……っ」
ユイの言った、たった一言。それが、どうしようも無くリョウの頭の中に響き渡る。
何故
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