SAO編
四十三話 語らう(彼)
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「んーと?ハップナってこれか?」
「あぁ、デザートの香り付けに使うんだとよ」
キリトとリョウは、買い物……否、お使い中だった。
すっかり料理の事で意気投合してしまったアスナとサチが料理を始めた結果、半分追い出される形で足りない材料の買い出しを申しつけられたからである。
「ソンテ、ラル・カウス、レルナ、ハップナ……これで全部か?」
「えーっと……よし、確認取れた、全部だ。帰ろうぜ兄貴」
「ふぅ……やっとか」
買った物をリストと照らし合わせ、ついでにメッセージで確認。用事が済んだ二人はすぐに帰路に付く……と、
「おっ、そういや今日はアギ鳥の串焼き屋台が出てるんだよな……」
アギ鳥と言うのはまぁ、小さめの鶏肉の事で、その串焼き屋台が今日は出ている。此処、コラルの村では、日によって出ている屋台と出ていない屋台があるのだが、アギ鳥はその中でも結構うまい方に入るのだ。
しかし、そんな事を言ったリョウにキリトは少々渋い顔を向けた。
「おいおい、今から夕飯なのに食うのか?」
「む、確かにそうか……」
「腹も減ってた方が美味しくいただけるし、アスナ達にも悪いだろ。真っ直ぐ帰ろう?」
「ぬぅ……仕方ない……」
そして……
────
「まぁ、楽しみを我慢すんのは悪い事だしな」
「そうだな……ング、上手い物は直ぐ食うのが一番だ」
結局二人は誘惑に負けて串焼き肉を食べながら歩いていた。
結局は食い意地の張った男二人、夕飯前は食べないなどと言う、作る側の事を最大限に考えた配慮など無理だったのである。
二人は食べながらも足は止めない。
既に辺りは薄暗く、日は小さくオレンジ色の光を放つだけとなっており、早く帰りつかなければ真っ暗な林の中を通らなければならないのは必至だ。この二十二層のフィールドにはモンスターは出現しないし、別に二人ともオカルト系の話が怖い訳ではないので本来ならそこまで急ぐ必要は無いのだが、余り遅くなってしまうと幽霊の類よりも怖い物に怒鳴られそうな予感が二人ともあったため、内心ほんの少し焦っているのだ。
「そういやよぉ……」
「ん?」
串焼きを食べ終わったリョウが、歩きながらキリトに声をかける。同じく食べ終わり、串をアイテム欄のゴミ箱へと移動させ終わったキリトは、リョウの方を向き首を傾げる。
「結婚まで行ったんだ、あの約束、守る気になったって事で良いんだな?」
「あぁ…………」
────
去年のクリスマス。リョウ、キリト、サチのあの事件の、一つの転機となった日。
その日、キリトは絶望していた。
クリスマスイブの日にのみ出現すると言う、イベントボス《背教者ニコラス》。
それを倒した者に与えられる、死者蘇生と言う夢の様な効果を持つアイテムの噂を耳にした
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