暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
SAO編
四十二話 語らう(彼女)
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「じゃ、ちゃんと買って来てね?」
「キリト君。買う物忘れちゃだめだよ?」
 空も夕暮れ時になった頃、そんな声が二十四層南端の森で聴こえた。
小さなログハウスの前で、玄関まで出て来たサチとアスナが、リョウとキリトに注意を飛ばす。
 結局、あの後波長が合ったサチとアスナの料理トークはとどまる所を知らず、完全に「イミワカンネー」状態になっていた男二人を話題の彼方に置き去りにしたままキッチンへと移行、アスナがサチの作った調味料に感心したり、近しい調味料でも微妙に味が違う(キリトとリョウにはよく分からない)互いの調味料を味見して材料に付いて話し合ったりを繰り返した後、共同で相談して夕飯を作る事になった。
飯と聞いて色めき立つ男性陣であったがところがどっこい、デザートの材料の買い出しをアスナに命じられ、現在はそのために二十四層主街区のコラルの村へと出かける所である。

「分かってら、て言うか、こんだけするからには旨いもん頼むぞ」
「一応、確認のために後でメッセ送るな」
 そう言って出かけて行った男二人を見送りつつ、二人の少女は互いに顔を見合わせて微笑む。

「よーし、じゃ始めよ!」
「うん!」
 アスナとサチ。この世界でもトップクラスの実力を誇るであろう二人の料理が、始まった。
────

「サチ、これは?」
「え?あ、えーっと、先にそっちのスパイスで下味付けて、その後もう少し濃い目の味付けにするから……あ、そうそれ」
 テキパキと互いに言葉を交わし合いながら調理は進む。
お互いの動きをみて、常に先読みをするかのように準備や下ごしらえを行い、焼いたり煮たりといった作業(まぁシステムが管制するのだがに移る。
手の動きは全くと言って良いほど止まる様子を見せず、二人の眼は、両者ともボスモンスターの動きを観察するがごとく隙が無かった。
まぁ…………

「これ……レルナの実とパンプラの実と干しカルルと……何が入ってるの?」
「えーっと……ピストリネの実とディープ・スネークの骨だね」
「ディープ・スネーク!?」
 《ディープ・スネーク》は、「常闇の国」とも言われる、常に薄暗く視界が悪い事で有名な二十七層のフィールドに稀に出現する身体の長い蛇型モンスターで、仮に居たとしても体表が黒い鱗に覆われているため視認するのすら難しい。故に倒すのも容易ではなく、その食材は《ラグー・ラビット》と同じくS級レア食材に規定されている。
正直、その骨を使ったスパイスなどアスナも見るのは初めてだった。

「前にリョウが偶然って言って取って来てくれたの。肉とかは量も少なかったしもう食べちゃったけど、骨は沢山あったからスパイスにって思って」
「私食べた事も無いよ……味ってどんな感じ?」
「ピリッとするけど唯辛いよりは甘辛い感じかな。それに、臭みのあ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ