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SAO─戦士達の物語
SAO編
三十話 短気は損気
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も収めたくなる光景が存在しており、なんだか居てはならない様な気がして部屋を出ようとした所で、キリトからリョウにヘルプコールがかかった。

 で、何とかアスナを止め、事情を聞いて、この状況である。

 どうやら、アスナが暫くギルドを休んでキリトと攻略パートナーを組もうとギルドに休暇申請をした所、団長殿に面倒な条件を提示されたらしい。
キリトとの立ち合いがしたい、と。


ギルド[KoB]リーダー 《聖騎士》ヒースクリフ

 キリトと同じく、ゲーム上に習得者が一人しかいないユニークスキル、《神聖剣》有し、SAOの中でも最強の男として名高い剣士である。
同時に、攻略組最強のギルドのトップでもあるため、なし崩し的に攻略組全体のトップと言う事になるが……彼自身が攻略に口を出して来ることは少なく、どちらかと言うとボス戦闘の時等に無言で前線を支える様な、攻略組の連中にとっての「心の支え」的な人物だ。

 そんなかの剣士が、一剣士にデュエルを挑むと言うのは非常に珍しい。
と言うか、初めてじゃないか?とリョウは思う
何でいきなり?とか、色々と疑問はあるがとにかく、アスナがギルドを抜ける条件として、彼はキリトとの立ち合い。即ち決闘《デュエル》を提示して来たのである。

 しかしながら、キリトを面倒事に巻き込みたくないアスナはこれを拒否。
ヒースクリフが譲らないため、一度キリトの所へと戻り、相談の結果、キリト自身が直談判する事となったらしいのだが……

「断りに行って自分でデュエル受けて来るとか、阿呆かお前は」
「……もう、勘弁してください」
 易々とヒースクリフの誘いに乗り売り言葉に買い言葉と言った形で、試合の約束を自分からしてしまった訳である。
アスナが怒るのも無理は無い。

「けどさ、一撃終了のルールなんだし、そこまで心配しなくても大丈夫だって」
「まぁ、決めたのならとやかくは言わねぇが……そう言う事じゃないんだよなぁ」
「う〜〜〜〜〜……」
 その通りだと言いたげに、アスナがキリトを睨みながら唸っているのを見て、慌ててキリトは慰め始める。

「ま、俺にはどうとも出来んしな、頑張れ。あのおっさ……団長さんは言うまでも無く強敵だが……やるからには勝つ気で行け」
 そう言いつつ、リョウは立ち上がる。
何時までも居ても仕方ないし。色々としたい買い物も今日は考えていたからだ。

「ん、おう」
「でも負けたら、私が休むどころか逆にキリト君がKoB入りなんだよね……リョウはそれでもいいの?」
 そう聞いてきたアスナに、リョウは首だけで振り向くと、何時ものようにニヤリと笑って言った。

「俺は別にそいつの進む道に関してとやかく言うつもりはねぇよ。それにな、キリトにとっちゃあながち悪い条件でも無いかもしんねぇぞ?」
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