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SAO─戦士達の物語
SAO編
一話 楽園
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の前に俺は多少たじろぐ。すると。
「あ、いや、その武器もしかして、ドロップ品かなぁ……って」
「え?あ、ああ、はい。」
 うなずいた俺を見て青年は「やっぱり!」と、笑顔になる。
確かに、今俺の持つ槍は一時間くらい前に倒したモンスターからドロップした物だ。性能が初めに買った物より良かったので装備したのだが……

『見ただけで判別付くって……武器収集者≪アームコレクタ≫か?』
 話を聞くと、青年のHN(ハンドルネーム)はスデンリィというらしく。結論からいえば俺の予想どうりだった。
何でも、他のMMORPGでも武器集めが趣味で、SAOでも、自分のメインで使う予定である槍だけでもなるべく沢山集めるつもりらしい。ちなみに、既に此処「始まりの町」の武器屋も周りまくった後なのだとか。

 話をしていて(まぁほぼ聞き役だったが)俺はちょっと気になったことを聞いてみた。
「そんなに武器ばっか集めてどうすんだ?」
既にタメ語なのはVRMMOなればこそだろう。歳も近そうだったし。
「そりゃあ、僕だけの至高の一振りを見つけるのさ!何しろ、《剣がプレイヤーを象徴する世界》だからねー。今からどんな武器に出会えるか楽しみだよ!」
目を眩しいほどにキラキラさせながらスデンリィは言う。
《剣がプレイヤーを象徴する世界》と言うのは、SAOの歌い文句の一つで、文字通りこの世界にはそれこそプレイヤー一人一人が全員別々の武器を持てるほど多くの武器が設定されているらしい。それらを集めていけば、いずれ自分だけの一振りも見つかる。と言う事だろう。
「なるほどな。俺も探してみようかな、自分だけの一振り。」
「リョウも?うん!絶対そうした方がいいよ!いや、そうしなきゃもったいない!」
拳を握りしめて熱弁するスデンリィに苦笑しながら、俺はスデンリィとフレンド登録を提案した。少し癖があるが、悪い人物ではないらしいし、こういうやつが知り合いにいるのも悪くないだろう。
スデンリィも快く了承してくれ、俺はめでたくこの世界に来て初めての友人を持つ事になった。
言い忘れていたが、俺の反HNはリョウコウという。みんなは略してリョウと呼ぶが。

 その後、俺は此処(武器屋)に来た本来の目的を思い出し、いったんスデンリィと別れることにした。が、店の奥へ行こうとするとスデンリィがこんな事を聞いてきた。

「そういえばその武器はどのモンスターから?」
元々それを聞くために話しかけて来たんだろう。いつの間にか有耶無耶になっていた初めの質問に、俺もスデンリィも苦笑する。

「ああ、これは……」
俺が答えようとした、刹那、スデンリィのアバターが一瞬硬直し、
ばしゃあ!と言うガラスを割り砕くような音と共に……消滅した。

「……は?」

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