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木の葉芽吹きて大樹為す
双葉時代・発足編<後編>
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族の皆を守る義務と責任がある。それを投げ出す様な真似を出来るわけないだろう」

 黒髪少年改め、黒髪長髪青年は腹立たしそうに私の事を睨んでいる。
 ていうか、さっきからずっと睨まれてばかりだな、自分。

「聞きたい事は全部言い終えたみたいだな、オレは帰らせてもらうぞ」
「…………」

 押し黙っている黒髪長髪青年。にしてもこいつ髪の毛長いな。
 (一応)性別は女である私よりも長いのではないだろうか。

 ……引っ張ったら、ごっそりと抜けたりして。

 なんだか物凄く阿呆な考えが脳裏の片隅で鎌首を持ち上げるが、首を振ってその邪な考えを霧散させる。
 手に持った白薔薇を抱え直すと、黒髪長髪青年に背を向けてそのまま部屋を出ようとする。
 襖に手を掛けた時、それまで黙っていた青年の声が耳に届いた。

「――……近いうちに、オレはうちはを継ぐ」
「…………」
「次に会う時は貴様の前に対等な存在として立ち塞がってやる――覚悟しておけ」

 その時に改めて名を名乗る事にする。

 青年のその声を最後に、私は踏み出しかけていた足を一歩前に進めた。
 ……あれ? そう言えば私、この子に関わりたくなかったんじゃね?
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