暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRYTAIL-ダークブリングの力を操りし者-
第二話 エルザとルシアとスカーレット
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 まさかこの牢屋にまだ幼い女の子が来るとは思わず、俺は呆然としていた。
てっきり、厳つい顔の野郎か気味の悪い科学者のような奴が来ると思ってたので仕方がないと自身に言い訳をしている内に、女の子がこちらに近づいてきた。よく見ると体が震えていて、俺を見る眼で怯えているのがよくわかる。

「あ、あの、今日から食事係になりました、エルザです」

「…………あ、ああ。」


 あまりの驚きでアホみたいな返事を返してしまった。
 憑依して前の世界の時と顔が変わっていなければかなり怖い眼つきのはずだ。恐がるのも仕方がないか。……ん?食事係?なんだそれ。

「なぁ、その食事係ってなんだ?」

「しょ食事係はここへ食事を運ぶことと、あ、あなたに食事を食べさせる係りのことです」

「なぁにぃぃっ!?」

 しょ、食事を食べさせる!?いや、確かにこんな状態では満足に食事なんて摂れないし、かといってこの子の目の前でDBを迂闊に使うわけにもいかない。だが、まさか食べさせられるとは。しかも、こんな少女にこんな格好で……く、屈辱だ。

「ひっ!!す、すいません!」

「い、いや、謝るな。俺も大きい声だして悪かった。すまん」

 はぁ、怯えさせちまったか。まぁ恐がられることは慣れてるが、さすがにこの少女を怯えさせるのは気の毒だ。なるべく優しく接してあげよう。それにもしかしたら目的の情報収集もできるかもしれない。

「なぁここってどこなんだ?」

「え?知らないんですか? ここは楽園の塔と呼ばれています。」

 俺がそのことを知らないことに心底不思議がるのように首を掲げながらも質問に答えてくれた。年相応の可愛さだ。俺がこのくらいの年齢のときはクソ生意気な餓鬼だった気がする。

「楽園? こんな牢屋がか?」

「詳しいことはわからないんです。ただ黒魔導士って呼ばれる人達が各地から人を拐ってきて楽園の塔っていうのを建設させられてます」

 エルザと呼ばれる少女は、暗い表情を浮かべながら淡々と話す。
 ボロボロの布の服で、満足に食事や睡眠を摂ることができてないことが容易にわかる身体。ここの奴らは奴隷を扱うかのごとく、こんな子供に労働をしいているのだろう。……前の世界の常識を持つ俺からしてみればどんな理由があるかは知らないが、そいつ等をボコボコにしてやりたい衝動に駆られる。ここにどんな建前があるにしろだ。

「なるほどねぇ、胸糞の悪い話だ。……ところで、他の奴らも俺みたいにこうやって厳重に閉じ込められてるのか?」

 今思えば、俺一人に何故こんな大きな牢屋を使っているのか疑問だ。てっきり、このぐらいの牢屋に大勢が詰め込まれてるものだと思うのだが。

「い、いえ、あなたは特別らしいです。き、聞いた話ではあなたを捕らえるた
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ