暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルってなんですか?
無印編
第十七話
[1/14]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話



 黒い少女が襲ってきた日から二日が経過していた。最初は、捜索時にまた襲ってくるんじゃないか、と不安になり恭也さんが必要以上に気を張ってくれていた―――僕たちは襲撃者をあらかじめ知るような魔法はまだ使えない―――が、それも取り越し苦労に終わってしまった。黒い少女と獣耳の女性は、まるで先日の襲撃が嘘だったようにまったく音沙汰がなかった。

 しかし、彼女たちがジュエルシードを狙ってきたのは確かなことであり、力づくでも手に入れようという意思が見て取れた。そこまで必死になる以上、何らかの理由があるのだろうが、それをぺらぺらと話してくれる様な様子でもなかった。僕は、彼女たちの対処には困った。もともと、僕は暴力は好きでない。前回はなのはちゃんが返り討ちにしてしまったが、本当なら会話で解決すれば幸いなのだ。もっとも、現状では正当防衛と割り切って戦うしか選択肢は与えられていないようだったが。

 胸に不安を抱きながらジュエルシードを探すこと二日目、日が沈みかけ大地を紅く染める夕日が現れるころ、本当ならジュエルシードを捜索するために街の中心部にいるであろう時間帯に僕はなぜか学校の自分の教室にいて、数十枚の紙の山と格闘していた。
 それは、一人ではない。隣には僕の友達の一人であるすずかちゃんもいる。彼女と僕は、互いに数十枚の紙と格闘していた。格闘していたといっても、一枚一枚二つ折りにするだけだが。

 この紙の山の正体は、月に一回発行される図書館便りだ。いつもならA3一枚程度で終わってしまうはずの図書館便りだが、今月はゴールデンウィーク前ということもあって、司書の先生が頑張ったらしい。そのしわ寄せが僕たちに来てしまったわけだ。
 本来なら、すずかちゃんともう一人の図書委員でやる作業なのだが、もう一人の男の子は逃げてしまったようだ。僕が放課後、なのはちゃんと一緒にジュエルシードを探しに行く直前に紙の山を運ぶすずかちゃんと出会った時にそう聞いた。
 数十枚の紙を五束。ひたすらに二つ折りにし続ける単調作業。ある意味、苦行でもある。見かねた僕は、すずかちゃんを手伝うためになのはちゃんを先に行かせて後から合流することにした。すずかちゃんは当初、渋っていたが、僕がクラス委員ということを建前に押し通した形だ。

 しかしながら、なぜか僕とすずかちゃんしかいない教室の空気が重い。

 よくよく考えてみれば、今日のすずかちゃんは少し変だった。今日は、すずかちゃんとアリサちゃんと一緒にお昼を食べたのだが、そのときも何か考え込むようにすずかちゃんは、いつもにも増して口数が少なく、元気がないというべきだろうか。今も、半ば意識ここにあらずといった様子で、ひたすらに単調作業を続けている。

 いったいどうしたというのだろうか? 悩みがあるなら相談してくれればいいの
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ