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笠原達也だ」

「は、はぁ……」

「単刀直入に言って隊ちょ……じゃなくて、水城螢っていう人をこき使うことに関しては超一流のやつに依頼されてあのボンクラ科学者の所でスパイやってる」


……どうやら本当に敵ではないらしいが、そうだとしても心配だ。ごそごそと漁っていた棚から1枚のカードを取り出すと、アスナに渡してくる。


「とまあ、そう言うわけで敵ではないのが理解できたかな?それはGM権限にアクセス出来るカードだ。無くすなよ」

「……はい。それで、味方ではないというのは……?」

「……そうだな。済まないが、俺は君を助けてあげることは出来ない。俺が君を待っていたのは、ボンクラ科学者の研究成果を破壊するついでなんだ。今、敵だと明かすのはごめんだ。何より、君のアカウントには何重ものロックが掛かってて俺の権限じゃ解除出来ないし、そのせいでコンソールを使ったログアウトも不可能だ」

「…………」

「心配することはない。うちの隊ちょ、じゃなくて、水……もういいや。隊長と君の騎士様(ナイト)がもう、すぐそこまで来ている」


最後に、笠原はアスナに渡したカードを指しながら言った。


「それが有ればこの世界樹の中に入れる。これから鳥籠に戻ってもらうけど、彼らが来たらそれを落とすんだ」


アスナはカードをギュッと握りしめた。


「……済まんな」


笠原はもう一度アスナに謝ると、扉を開き、鳥籠まで送っていった。







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Side蓮



「……分かりました。蓮兄様も納得されるなら……」

「やれやれ、だけどな……」


浮かない表情の沙良を連れて蓮は商店街に来ていた。

暗い話をするならせめて賑やかな場所でという計らいだったが、あまり効果はなかったようだ。


(……それにしても)


この義妹を連れて人混みを歩くと目を引く。自他共に認めるシスコンである自分の色眼鏡抜きで見てもこいつは十分に美少女だ。対して自分は多少背が高いだけで平凡な顔立ちだ。その証拠に彼女など居たことはないし、バレンタインは毎年、この義妹からしか貰ったことがない。

だがそれは螢も然りで、あいつの場合は同性同年代の友人も居なかった。その代わり、権力者の大人達の人脈が物凄いが。


「沙良、何か欲しいものあるか?」

「……はい?」

「暗くなってても仕方ないぞ〜。今日は大事な日なんだろ?何か欲しいもの、買ってやるよ」


混乱する沙良の手を引き、アーケード街の奥に進んでいく。


(……何か、久しぶりだな)


権利があるのに家督を継
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