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スーパーヒーロー戦記
第18話 帰還
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。どんな死に方をするのか。とても苦しい死に方なのか。それとも一瞬で楽に死ねるのか。それは全く分からなかった。
只、分かる事といえば、もう二度と家族にも、仲間達にも会えないと言う事だけであった。

「私……死んじゃうのかなぁ?」

ボソリと、なのはは呟いた。
死。
それは幼い少女が考えるような事ではなかった。当然死と言う意味を知らないと言う事もある。だが、なのはは死と言う意味を知っていた。もう何度も目の前で人が死んでいく光景を目の当たりにしたからだ。
兜十蔵博士、緑川教授、早乙女達人。
彼等は皆なのはの目の前で死んでいった。死んだ人が最後にどうなるのか、それはなのはも触れて分かっている。
とても冷たく、硬くなってしまうのだ。まるで機械の様に。だが、自分はそんな風に死ねるのか?
自分に自問自答しだした。もしかしたらこのまま骨も残らず消え去るだけかも知れない。そうなれば、元の世界に居る皆はどうなるだろう。自分を探して苦しみ続けるのだろうか? それとも…自分の事などすぐに忘れてしまうのだろうか。
なのはは考えていた。死とはどう言う事だろうか。死ぬとはどんな気分なのだろうか。死んだ後、人は何処へ行くのだろうか。
そんな事を考えていた。

「どうせなら…最後にもう一目だけ…皆に会いたかったな……」

最後にそう呟き、なのはは目を瞑った。もう過ぎ去る景色など見たくない。閉じた先に見えるのは何も見えない漆黒の闇だけだった。それで良い。どうせ死ぬなら何も見ない方が良い。このまま深い眠りについて、そして死のう。そう思った。
やがて、なのはの意識が肉体から離れていく。もう二度と意識と肉体が一つに交わる事はない。そう思っていた時だった。
落下していく彼女の周囲を暖かな光が包み込んで行った。柔らかい光だった。その光を浴びているととても心地よく感じられた。
そして、不思議な事にその光の中に居たなのはの落下は止まっていた。先ほどまで地面に頭を向けていた筈なのに、今では横になっている。
そして、柔らかな光の中から現れたのは、銀色の肌をした巨人であった。
その巨人は一目で女性だと分かった。母を思わせる風貌、そして膨らんだ二つの胸。優しそうなその瞳は正しく母その者であった。
その巨人がそっと、とても優しくなのはをその大きな手で掬い取り目の前に持って来た。

【諦めてはいけません。まだ、貴方は死んではいけない存在なのです】

巨人は優しくも、芯の通った口調でなのはに語りかけた。だが、それは巨人の口から放たれた言葉ではない。なのはの心に直接語りかけていたのだ。その証拠に巨人の表情は全く変わっていない。

【貴方は、その身に強い光を宿している。その光は多くの闇に囚われた人々の心を照らす輝きとなります。ですが、その貴方の光を狙って多くの邪悪が貴
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