暁 〜小説投稿サイト〜
インフィニット・ストラトス〜黒き守護者〜
VS銀の福音
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―――箒side

 私はあの後、一夏を背中に乗せて福音に移動していた。
 しばらくすると紅椿のハイパーセンサーが福音を捉えた。

「見えたぞ、一夏!」
「!!」

 そして私は呆然としていたらしい一夏に激を入れる。

「加速するぞ! 目標に接触するのは10秒後だ。一夏、集中しろ!」
「ああ!」

 スラスターと展開装甲の出力をさらに上げる。

「うおおおおっ!」

 一夏は零落白夜を発動させ、同時に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を行って間合いを一気に詰めた。
 そして刃が福音に触れる瞬間、

「なっ!?」

 福音は最高速度のままこちらに反転、後退の姿となって身構えた。
 一夏はそのまま押し切るようだ。

『敵機確認。迎撃モードへ移行。《銀の鐘(シルバー・ベル)》、稼働開始』

 機械音が聞こえ、福音派体を一回転させて光の刃を避けた。

「くっ……! あの翼が急加速をしているのか!?」
「そうだろうな」
「……箒、援護を頼む!」
「任せろ!」

 やっと望んだこのチャンス、無駄にはしまい。
 一夏は福音へと斬りかかるが、紙一重で回避されてしまう。
 時間切れも近いことながら、一夏は大振りの一太刀をあびせようとするが、福音はそれを見逃さなかった。
 福音は翼を前へと迫り出し、光の弾丸を一夏へと飛ばす。
 その弾丸はどうやら高密度に圧縮されたエネルギーで、羽のような形をしていた。

「箒、左右から同時に攻めるぞ。左は頼んだ!」
「了解した!」

 そして私たちは複雑な回避運動を行いながら福音に二面攻撃を仕掛けた。だけどそれも交わされてしまう。それでも私は一夏の助けになりたい。だから―――

「一夏! 私が動きを止める!!」
「わかった!」

 私は二刀流で突撃と斬撃を交互に繰り返す。さらに補助機能なのか腕部展開装甲が開いてエネルギー刃が攻撃にあわせて自動で射出されていく。そして徐々に福音との距離を詰めていく。

「はあああっ!!」
「La………♪」

 甲高いマシンボイスが響き、福音のウイングスラスターは砲門を全て開いた。そしてその数は36個。

「やるなっ……! だが、押し切る!!」

 光の雨を紙一重で躱しながら迫っていると隙ができた。
 だというのに一夏は海面へと全速力で向かった。

「一夏!?」
「うおおおっ!!」

 そして瞬時加速と零落白夜を同時に使って一発の弾を消滅させる。

「何をしている!? せっかくのチャンスに―――」
「船がいるんだ! 海上は先生たちが封鎖したはずなのに―――ああくそっ、密漁船か!」

 ―――キュゥゥゥン……

 雪片弐型の光の刃が消え、展開装甲が閉じてしまった。



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