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On the day before the battle
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に会いに来たに決まってるじゃないか」


よくもまあそんなことが言えたものだ。実の子供である蓮兄までモノ扱いしているこの女に俺も沙良も母親らしいことをされたことがない。

今だにこちらを楽しそうに見つめる水城雪螺から目を逸らし、上座で俺以上の殺気を放つ冬馬を見やる。
すると、座れと顎をしゃくるので、2人の中間辺りに腰を下ろした。


「歓迎されていないのは解ってる。……でも、螢。今日はあなたに良いお知らせがあって来たんだよ」

「……何だ?」


雪螺はクスッ、と笑うと横に置いてあった書類ケースから紙の束、そして1枚のCDを取り出し、それらを重ねて手渡してきた。

その書類の冒頭に書かれていた文字を見た瞬間、俺は目を見開き、驚きを隠せないまま雪螺を見た。


「……あんた、どうしたんだ、これ……」

「何を驚いているのかな?私を誰だと思ってる」



――『神医』。その言葉の意味を俺が本当の意味で理解したのはこの瞬間だった。


「とはいえ、あなたがその媒体に記録されているものを解析し、更に臨床試験もクリア出来れば、の話だが……どうだ?やるか?」

「……解せないな」


書類とCDを脇にどけ、俺は再び雪螺を見た。さっきまでとは違う、疑いの目で。


「確かにこれは俺の望んでいたものだ。だが、あんたが俺に協力する意味が解らない。……何を企んでいる?」

「仲直りしたいから、って言ったら信じるかな?」

「無理だな」


この女と水城家の溝は俺だけのものではない。

故に、俺がこいつと和解したところで何の解決になるわけではない。


「勿論、蓮や沙良には私から話すよ。お義父さんはもう承諾されたしね」

「はっ?」


驚きのあまり、無言の当主を勢いよく振り返る。その表情からは何も読み取れなかったが、何か考えがあってのことだろうと納得する。


「……これだけは聞いておきたい。目的は何だ?」

「なに、簡単なことさ」


雪螺は芝居掛かった仕草で手をひらひらさせると、『簡単なこと』を明かした。


「山東家に狙われてる。助けてくれ」







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