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とある星の力を使いし者
第172話
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いない。
それも超能力者(レベル5)クラスの能力者が。
底から少し離れた所で、九人ほどの少女達が倒れている。
服装から髪型、身長、体格、果ては顔の作りまでは全て同一の少女達。
麻生はその少女達を知っている。
御坂美琴の体細胞を利用して生み出された『妹達(シスターズ)』だ。
そして、その激闘の爪痕の中心に一人の男がボロボロになって倒れ、一人の男が無傷で立っていた。
ボロボロになって倒れている人物に麻生は見覚えがある。
削板軍覇。
つい最近『根性磨き直すメニュー』というふざけたトレーニングに付き合せた本人。
無傷で立っている男に見覚えは全くない。

「遅かったな。
 一度だけだが、俺が星の力を使ったのを感じたのならすぐに来るべきだ。
 それなのに、君は三分も考え、ようやくここに来た。」

麻生の方をゆっくりと視線を向けながら、男は話す。
話の内容からして、この男は麻生の事を知っていて、さらに星の力も知っている。
頭の痛みがないという事は、ダゴン秘密教団ではない可能性が高い。

「お前、何者だ。
 あいつらの仲間か。」

「一つ一つ答えるとしよう。
 俺はオッレルス。
 かつて魔神になる筈だった男だよ。
 しかし、これは()の俺の話だが。」

オッレルスの言葉を聞いて疑問に思う所が出てきた。

「表、だと。」

「あいつらと言うのはダゴン秘密教団の事だろう?
 奴らと俺の関係を言い表すなら、敵同士だな。」

嘘を言っているかもしれないが、麻生はこのオッレルスの言葉は信じてもいいと思った。
理由はない。
自身の直感と言い様のない自信があった。

「表の俺ってどういう事だ?」

「答える必要はない。
 というより、答える権利がない。」

「どういう事だ?」

「そもそも、今日俺が君に会う事はなかった。
 表の俺の仕事を終え、速やかにここを去る。
 しかし、つい最近になって予定が一気に崩れ、独自の判断で君を呼んだ。
 分かりやすい餌を出す事でね。」

「完璧に俺は釣られた訳か。
 最後に聞きたい。
 俺に会ってどうするつもりだ。」

オッレルスはうっすらと笑みを浮かべて言った。

「別にどうこうするつもりは全くない。
 ただ、君に知ってもらった方が良いと思ってね。
 その力を扱えるのは君だけじゃない事を。
 そして、今のままでは駄目だ。」

「そうかい。
 後の詳しい話はそっちのやり方に合わせて聞いてやるよ!」

能力を発動して地面を蹴る。
音速を超える速度で接近した後、左拳でオッレルスの顔面を捉える。
完璧に捉えた。

「なっ・・・」

思わず息を呑んだ。
音速を超える速度で突撃して、さらにベクトル操作で倍以上に威力を
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