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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第98話:お引っ越し
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てください」

「はい、ありがとうございます」

俺たち2人はアイナさんの部屋に足を踏み入れる。
こじんまりとした部屋ではあるがよく整理されていて、
アイナさんっぽいなあと思いながらリビングルームに入ると、
床にぺたんと座り込んで絵本を読んでいるヴィヴィオがいた。

「ヴィヴィオ」

なのはが呼ぶとヴィヴィオはぱっと顔を上げる。

「ママ!」

次の瞬間、ヴィヴィオは立ち上がってなのはの方にかけ出すと、
かがんでヴィヴィオを抱きとめようとするなのはの腕の中に飛び込んだ。

「待たせちゃってごめんね、ヴィヴィオ」

なのはは飛び込んできたヴィヴィオを強く抱きしめる。
ヴィヴィオのほうもなのはの胸に顔を押し付けている。
俺はその光景を見ながら心の中に暖かいものがわきあがってくるのを感じた。

「やっぱりヴィヴィオはなのはさんが大好きなんですね」

後ろから聞こえてきた声に振り返ると抱き合うなのはと
ヴィヴィオのほうを見て柔らかな笑顔を浮かべているアイナさんが立っていた。

「ありがとうございました。長いこと預かってもらって」

そういってアイナさんに向かって頭を下げると、アイナさんは俺に向かって
にっこりと笑いながら小さく首を横に振った。

「いえいえ。私もヴィヴィオと一緒で楽しかったですから。
 むしろちょっとさびしいかなって思ってるんですよ」
 
アイナさんはそういってなのはとヴィヴィオのほうに顔を向ける。
その表情はにこやかではあるが、言葉のとおり少し寂しげに見えた。
その横顔に向かって俺は声をかける。

「アイナさん」

「はい?」

「実はこれからも昼間はアイナさんにヴィヴィオを預かって
 もらえないかと思ってるんです」

「え?」

俺の言葉に目を丸くしたアイナさんが俺の顔を見つめる。

「俺もなのはも昼間は仕事がありますし、一人で留守番をさせるには
 まだ早いですから。
 その点、アイナさんなら安心して預けられるので、
 できればお願いしたいんですが・・・」

「いいですよ」

即答したアイナさんを俺は驚きながらまじまじと見つめる。

「本当にいいんですか?」

確認するようにもう一度たずねた俺に向かって、
アイナさんは微笑を浮かべた表情でうなずく。

「さっきも言いましたけど、ヴィヴィオといるのは私にとっても
 楽しいことですから」

「ありがとうございます」

俺はアイナさんに向かって深く頭を垂れた。



しばらくしてアイナさんの部屋を後にした俺たち3人は、
俺のマンションに向かった。
アイナさんの自宅から俺のマンションまでは意外と近く、
車で10分ぐらいの距離である。
車を駐車場に停め
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