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お父さんは研究員なので
第二章

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「だから英語でも中国語でもな」
「興味があったら読みなさい」
 母も言ってきた。
「辞書があるから」
「これを使ってなんだ」
「わからない言葉を調べてなのね」
「読んでいきなさい、それでもわからないならね」
「お父さんが教えるぞ」
 父も言ってきた。
「英語と中国語とフランス語ならわかるぞ」
「そうなんだ」
「お父さんフランス語もわかるの」
「それでフランス語がわかったらな」 
 そうなればとだ、父はさらに話した。
「イタリア語やスペイン語もわかるぞ」
「そうなんだ」
「他の言葉もわかるの」
「ああ、だから二人共興味があるならな」 
 それならというのだ。
「辞書を使ってな」
「英語や中国語読んで」
「それでもわからないなら」
「お父さんが教えるぞ」
 子供達に笑顔で話した、それからだった。
 満と瑠璃子は時々辞書を使って父が持っている外国の本、英語や中国語それにフランス語の文章を読む様になった、辞書を使って父に聞いてだった。
 読んでいった、するとだった。
「いや、それが将来決めるなんてな」
「思わなかったわね」 
 大人になった満と瑠璃子は実家で話していた。
「私は英語の先生になってね」
「翻訳家でもあってな」
「兄さんは中国語の通訳」
「そうなるなんてな」
「いや、お父さんの本が二人の仕事になるなんてな」 
 今も研究員をしている父は笑って言った。
「思わなかったな」
「そうね、けれど二人共ちゃんと働けて幸せだっていうし)
 今も大学で働いている母も言った。
「それならよね」
「いいな」
「そうよね」
「うん、ちゃんと食べられているしね」
「満足してるわ」
 子供達もそうだと両親に言う、それぞれ若い時の両親そっくりになっている、まるでクローンの様である。
「今のお仕事出来て」
「そうだよ」
「それは何よりだな、環境が人生決めるっていうけれどな」
「うちもそうね」
「ああ、外国の本があってな」
「それで二人の人生が決まったしね」
 両親は笑顔で話した。
「それならね」
「そう言っていいな」
「そうだよ」
「お家に外国の本があったから今の私達があるのよ」
 子供達もそうだと笑顔で話した、そしてだった。
 一家で寿司を注文して食べた、その時の寿司もそれぞれの国でどう呼ばれるかという話をした、日本のものも外国の言葉で呼ぶとどうなるかと話してそちらでも一家で盛り上がって笑顔になったのだった。


お父さんは研究員なので   完


                     2024・2・19
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