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お父さんは研究員なので
第一章

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        お父さんは研究員なので
 父がリビングに置いた本を手に取ってだ、小学四年生の近藤瑠璃子は眉を顰めさせて言った、ちゃうろの髪の毛をセミロングにしている大きな切れ長の目とあどけない感じの唇を持つ大きな耳の少女である。
「全然読めないわ」
「またなんだ」
 一つ上の兄の満が応えた、小さめの目で鼻が大きく黒髪はショートである。背は同学年の男の子達の中ではかなり大きい。
「英語の本なんだ」
「いや、漢字ばかりだから」
「中国語?」
「そうみたい」
「そうね」
 母で大学で事務員をしながら主婦をしている蒔絵も言ってきた、娘にその遺伝を受け継がせている様な外見である。
「これは」
「中国語なの」
「今度は」
「ええ」
 略体字の漢字の文章を見つつ自分の子供達に答えた。
「お父さん大学の研究所で働いてるでしょ」
「ええと、八条大学?」
「ロボットか何かの」
「宇宙科学よ、それでね」
 そちらの研究員でというのだ。
「外国の本も読んでいてね」
「英語だけじゃなくて」
「中国語の本も読んでるんだ」
「そうよ、そしてね」 
 そのうえでというのだ。
「他の国の言葉もね」
「そうなんだ、何て書いてるのかな」
「わからないわね」
 満も瑠璃子も漢字の文章を見てもこう言うばかりだった。
「英語もだけれど」
「どうもね」
「わからないなら辞書があるわよ」 
 母は子供達に中国語のそれを出して言ってきた。
「使う?」
「うん、じゃあ」
「ちょっと借りるね」
 子供達もそれならと頷いてだった。
 辞書を使ってその文章を読んでみた、だが。
「化学とか宇宙とか」
「そう言われてもね」
「わからないこと多いね」
「どうもね」
「ああ、専門的な言葉だからな」
 その研究員の父の康臣も言ってきた、息子がそのまま成長した様な外見であり非常に温厚そうである。
「わからないよ、ただな」
「ただ?」
「ただっていうと」
「二人共他の国の言葉に興味を持つことはいいことだぞ」
 子供達に満面の笑顔で話した。
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