第二章
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「あのお婆さんの胡桃の木が増えたらかい」
「ああ、いいと思ってな」
「胡桃の実がもっと食えたら」
「木が増えてな」
「そうしたら今よりもっと食べものがない時も助かる」
「胡桃の実をさらに多く食えてな」
「そうなるからな」
だからだとです、村の人達は狼にお話しました。
「有り難い」
「しかも胡桃の実は美味い」
「美味いものがさらに増える」
「だからそうしたいが」
「胡桃の木を増やしたいんだが」
「お婆さんが許さないからな」
胡桃の木の持ち主であるこの人がというのです。
「だからな」
「わし等もどうしたものかってな」
「真剣に思ってるんだ」
「それじゃあお婆さんが持ってる胡桃の木が増えたらいいな」
狼は村の人達のお話を聞き終えて言いました。
「そうしたらいいな」
「お婆さんが持ったままか」
「そうしたらいいか」
「お婆さんの木のままで」
「それでか」
「ああ、ちょっとわしが行って来る」
狼は自ら申し出ました。
「お婆さんのところにな」
「それでか」
「それで話をするか」
「そうするか」
「ああ、今からそうしてくる」
こう言って早速でした。
狼はお婆さんのお家に行きました、お家の扉を叩くとすぐにお婆さんが出て来ましたが開口一番こう言いました。
「あんたも胡桃の木を食べたいならね」
「ここでだな」
「食べてね」
そうしてというのです。
「絶対にだよ」
「持って帰ったら駄目だね」
「そうだよ、いいね」
「じゃあいただくよ」
まずはこう言ってでした。
狼はお婆さんのお家に入りました、そうしてです、
胡桃の実をご馳走になりましたがお婆さんにこう言いました。
「木を増やしたくないかい？」
「木をかい？」
「あんたが持ってる胡桃の木をね」
これをというのです。
「そうしたらどうだい？」
「これまで考えたことはなかったね」
お婆さんは卓に向かい合って座っている狼に答えました。
「全くね」
「そうなのかい」
「ああ、しかしかい」
「そうさ、大事な胡桃の木をな」
「今の一本からかい」
「種を蒔いてな」
胡桃の実の中のというのです。
「それで二本三本ってな」
「増やしていくのかい」
「そうしていって」
狼はお婆さんにさらに言いました。
「あんたの家族全員で大事にしたらどうだい？」
「胡桃の木を増やしてかい」
「そうさ、林位に増やして」
そこまでというのです。
「実も今より遥かに多く手に入れて」
「食べるのかい」
「村の皆が食べるのはいいんだろ」
「悪いものかい」
これがお婆さんの返事でした。
「あたしは木は大事にしているけれどね」
「実はだね」
「置いておいても腐るし」
そうなるだけでというので
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