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X ーthe another storyー
第十一話 地夢その五

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「今に至ります」
「そうですか」
「母はどういう訳かです」
 星史郎はさらに話した。
「自分以外の桜塚護の人間は作りませんでした」
「お一人だけでしたか」
「何でも僕に出来るだけ人を殺めない様に」
「その配慮ですね」
「そうだったとか」
「愛する貴方に」
「息子だからですか。母は僕を愛してくれていました」
 そうだったことも話した。
「ですが僕は」
「お母上に愛情はですか」
「抱いていませんでした」
 言葉は過去形であった。
「だから母を殺す時も。母は何もしませんでしたが」
「何もですか」
「思いませんでした」
 やはり過去形であった、その言葉は。
「そうでした、そしてです」
「最後の時がですか」
「近いです、また地の龍が揃うべき時に」
「来て頂けますね」
「それまではです」
 まさにというのだ。
「準備もして」
「桜塚護を終わらせる」
「それもしまして」 
 そしてというのだ。
「自分で、です」
「動かれますか」
「そうします」
 こう言うのだった。
「暫しお待ち下さい」
「はい、では庚さんにもです」
「お話してくれますか」
「そうさせて頂きます」
 星史郎に約束した、星史郎は彼のその言葉を受けてこれまでと同じく優しい笑みを浮かべた。その笑みを見てだった。 
 牙暁は悲しい顔になりこう言った。
「運命を全うされますか」
「僕の運命は。ですが」
「彼の運命はですね」
「彼は彼です、そして」
「もうですね」
「悪い因縁は切るべきですので」
 そう考えるからだというのだ。
「もうです」
「最後にするのですね」
「そうです、もう充分でしょうし」
 そうも考えるからだというのだ。
「終わらせる為に動きます」
「地の龍として」
「そうです、それで地の龍の方々は」
「悪い人はいないです」
 牙暁はこう答えた。
「どなたも」
「そうですか」
「貴方と同じく」
「ははは、僕は違いますよ」 
 牙暁の今の言葉には笑って返した。
「これ以上はないまでにです」
「悪人ですか」
「そうです、でば僕以外はですね」
「そう言われますか」
「そうです、では皆さんは戦いの後もです」
 優しい笑顔での言葉だった。
「是非」
「生きるべきですか」
「そうして欲しいですね、では」
「時が来れば」
「参上しますので」
「席は用意してもらいます」
 牙暁はまた答えた。
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