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第十一話 地夢その三

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「俺は気が進まない、この力は何かを誰かを助ける為に使いたいって思ってな」
「そうされてきましたね」
「学生時代からだった、俺は暴力は嫌いでな」
「力を悪用したことも」
「ないさ、誰かを殴ったり罵ったりもな」
 そうしたこともというのだ。
「ガキの頃からしなかった」
「貴方は本当に優しい人ですね」
「幸い親も親戚も周りもな」
 誰もがというのだ。
「いい人達ばかりでな」
「そうした人になる様に教えてもらって」
「育ってきたしな」
「それで、ですか」
「ああ、生きてきたしな」
「自衛隊に入られても」
「そうだ、それに自衛隊自体も」
 自分が所属しているこの組織もというのだ。
「警察と同じでな」
「護る組織ですね」
「力でな、そうした組織にもいるしな」
「地の龍であってもですね」
「そうしたことはしたくないな」
 あくまでというのだ。
「人間や多くの命を滅ぼすことは」
「そのお考えは変わらないですね」
「どうしてもな、それは言っておくな」
「わかりました、ですが」
「それでもだな」
「はい、この戦いはです」
「人間か地球かだな」
 二つのうちどれかとだ、牙暁に言った。
「それでだな」
「そうです、そして地の龍は」
「地球の為に戦う運命だな」
「そうなっています」
「難儀だな、だが運命からは逃げられないな」
「どうしても」
「なら受けるさ、しかし戦いはしてもな」 
 それでもと言うのだった。
「俺は無駄な命は奪わないからな」
「これからもですね」
「ああ、それは言っておくな」
 こう言うのだった、そしてだった。
 草薙と牙暁は別れた、牙暁は深い眠りに入った彼から離れそのうえで今度は桜塚護の夢の中に出た。
 そしてだ、今度は彼に声をかけたが。
「待っていましたよ」
「そうでしたか」
「貴方が来ると思っていましたので」
 彼は立っていた、そのうえで言うのだった。
「ですから」
「それで、ですか」
「待っていました、そしてです」
「この度ですか」
「お話するつもりでした」
「そうでしたか」
「僕は時が来れば自分からです」
 牙暁に優しい笑顔で話した。
「お伺いします」
「地の龍の場所に」
「都庁にですね」
「参りますので」
 そうするからだというのだ。
「お待ちして下さい」
「わかりました」
「そしてです」
 さらに言うのだった。
「僕のことは星史郎と呼んで下さい」
「桜塚護ではなく」
「あれは組織としての名前であり」
「貴方はですか」
「桜塚星史郎です、そして」
 牙暁に言うのだった。
「僕はこの立場で昴流君と会います」
「皇昴流、彼とですね」
「彼は天の龍の一人ですね」
「はい」
 牙暁は確かな声で答えた。
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