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第十一話 地夢その二

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「全く気が進まないんだ」
「地の龍としての戦いに」
「控えめに言ってもな」 
 それでもと言うのだった。
「あまり、だな」
「そうですか」
「ああ、戦い自体が好きじゃなくてな」 
 そうしてというのだ。
「人間そして多くの命を滅ぼす様だと尚更だよ」
「では天の龍になられますか」
 牙暁は草薙の言葉を聞いて彼に問うた。
「それなら」
「あっちに寝返ってか」
「そうされますか」
「あんたとはずっと話しているよな」 
 草薙は牙暁に悲しむ様な顔になって言葉を返した。
「それであんたには悪い印象はないんだ」
「そうですか」
「俺のことを心から気遣ってくれてるな」
 このことを感じて言うのだった。
「そうだよな」
「そう言われますと」
「そうだろ、俺達は友達だからな」
「それで、ですか」
「そのあんたを裏切ることはな」
 天の龍となってというのだ。
「したくない」
「そうですか」
「それに他の奴等のことも知らない」
「地の龍の」
「どんな奴かな、若し碌でもない奴ばかりならな」
「お友達にはですか」
「なりたくないな、自衛隊は縦社会って言うだろ」
 自分が所属しているその組織のことも話した。
「よくな」
「階級が存在していて」
「ああ、しかし横社会でもあるんだ」
 こちらもあるというのだ。
「同期ってあってな」
「同じ時に入隊した」
「同じ課程でな、俺だと曹候補学生だな」
 この課程だというのだ。
「これで入ったな」
「同期の方々とはですか」
「入隊して教育隊で同じ場所で寝て飯食って何よりも訓練をしてきた」
「絆ですね」
「それがあってな」
 それでというのだ。
「その絆はな」
「強いですか」
「ああ、だからな」
 それでと言うのだった。
「まずあんた以外の地の龍の奴等を見てな」
「そうしてですか」
「屑しかいないなら俺は降りるさ」
 この戦いをというのだ。
「そうするさ、けれどな」
「それでもですか」
「仲間達が人間として嫌いな奴等じゃなかったらな」
「共にですか」
「やっていくな」
 こう言うのだった。
「俺達は」
「そうですか」
「そしてな」
 それでと言うのだった。
「決めるさ、けれどあんたはな」
「裏切らないですか」
「友達だからな」
「では天の龍には」
「なるつもりはないさ」
「そうなのですね」
「しかし。本当にな」
 草薙はあらためて話した。
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