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第十一話 地夢その一

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               第十一話  地夢
 牙暁はこの時草薙の夢に来ていた、そのうえで彼と話していた。
「まだですか」
「ああ、どうしても行く気になれない」
 草薙は自分の前に立っている牙暁に右膝を立たせて透明な椅子に腰かけた姿勢で座ってやや俯いて答えた。
「俺はな」
「地の龍として戦うことを」
「俺は元々戦いは嫌いなんだ」
「はい、それは」
「あんたも知ってるな」
「そのつもりです」
「自衛隊って戦う仕事だと思うだろ」
 牙暁に問う様に言った。
「それでもな」
「それがですね」
「ああ、その実はな」
「戦うのではなくですね」
「護るのがな」
「人、そして日本をですね」
「それが仕事で災害が起こったらな」
 その時はというのだ。
「もう真っ先にだよ」
「被災した人達を救助しに行きますね」
「それが自衛隊の仕事でな」
 それでというのだ。
「入隊したのもな」
「その為で」
「地の龍として戦ってな」
 そうしてというのだ。
「人間を滅ぼすなんてこともな」
「お嫌ですね」
「人間って悪い部分もあるけれどな」
「いい部分もですね」
「一杯あるって思うしな」
 それでというのだ。
「それに人間を滅ぼすと他の生きものもだろ」
「世界を滅ぼしますので」
「そうだろ、一緒に沢山死ぬよな」
「地球上の殆どの命が」
「そりゃな、地球が困っていることはわかるさ」
 草薙にしてもだ。
「人間が汚して傷付けてな」
「悲鳴さえあげていますね」
「ああ、けれどな」
 それでもというのだ。
「人間が行いを少しでもあらためたらな」
「それで済みますか」
「そうじゃないかとも思うんだ」 
 牙暁に深く考える声で話した。
「だからな」
「それ故に」
「俺はあまり気が進まないんだ」
「この戦いに」
「行かなくちゃいけないのはわかってるけれどな」
 それでもというのだ。
「けれどそれでもな」
「人間そして他の命を滅ぼすことは」
「どうもな」
「そうですか」
「行く時になったら行くさ」 
 地の龍としてというのだ。
「絶対にな、けれどな」
「それでもですか」
「戦いたくないってな」
「その様にですね」
「思ってるさ」
 今もというのだ。
「ずっとな」
「そうですか」
「ああ、俺は嘘は吐きたくないし夢ではな」
「嘘は言えません」
「だから言うな、俺はな」
 どうしてもというのだ。
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