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夢幻水滸伝
第二百八十七話 二つの切り札その十四
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「難しい、そやからウエストバージニア州にや」
「退きますか」
「そうする、退けるうちに退く」
 それがと言うのだった。
「戦はそれも大事やろ」
「はい、確かに」
「さもないと全滅します」
「そして戦局が決しかねません」
「バイキングは撤退を見極めるのも大事や」
 こうも言うのだった。
「職業柄な」
「船で行き来しますしね」
「海も川も」
「突如現れ攻める」
「そして敵が来れば退くものなので」
「そや、本質的にゲリラ戦が多くてな」
 船を用い海や川においてだ、事実起きた世界でかつてバイキングが怖れられたのは突如攻めてきてかつ即座に逃げる神出鬼没の存在だったことも大きいのだ。
「退き時を見極めるのもや」
「大事ですね」
「そしてそれはホーソーン様も同じ」
「だからですね」
「もうな」
 今はというのだ。
「退くで」
「わかりました」
「ではです」
「今より退きましょう」
「そういうことや、全軍ウエストバージニア州まで撤退や」
 こう指示を出してだった。
 ホーソーンは防衛ラインに穴を空けられジェーンが部隊と共に後方に出たのを確認すると即座に軍全体を撤退させた。
 船を橋の様にも使いトーチカの中に爆弾を置いて敵が近付くと爆発させる様にしてだった。
 持てる兵器は全て持ってそのうえで撤退に移った、トラックも使ったその撤退は迅速で逃げ遅れた者を殆ど出さずにだった。
 撤退を行った、そしてペンシルバニアに残していた部隊とも合流しウエストバージニア州まで退いた。
 メルヴィルはその彼と彼が率いる軍勢を追撃してフィラデルフィアに入った、そこで共にいるジェーンに話した。
「さて、これでや」
「第一の目的は達しましたね」
「ああ、この街に入ってな」 
 フィラデルフィアの中を見回しつつ話した。
「それが出来た」
「そうですね、ですが」
「ああ、ピッツバーグにはまだエミリーちゃんがおってな」
「守りを固めていますね」
「それでホーソーンもや」 
 軍を撤退させた彼もというのだ。
「ウエストバージニアまで退いたが」
「そこで、ですね」
「どうやら守りを固めてな」
 そうしてというのだ。
「また戦うつもりや」
「そうですね」
「戦はまだ続く」
 メルヴィルはこのことを強く言った。
「そやからな」
「フィラデルフィア入城でやったと思わへんで」
「これからもな」
「戦っていきますね」
「そや、ええな」
「はい」 
 シェリルは確かな声で応えた。
「ほなこれからも」
「戦ってくで」
「わかりました、相手を降すまで」
「戦は続く、やってくで」
 こう言うのだった、そして早速ジェーンと軍議に入った。防衛ラインを攻略しフィラデルフィアに入っても戦は続くのだった。



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