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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第83話:退院
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その時、エレベータが止まり扉が開く。
俺はエレベータを降りるとエレベータの中に残ったシンクレアの方を振り返る。

「じゃあ、また後で」

「はい。お待ちしてます」

そして、エレベータのドアが閉まった。
俺は通路を一人なのはの部屋に向かって歩く。
入院中に何度も訪れたなのはの病室の前につくと扉をノックする。

「どうぞ」

なのはの声で返事が返ってくるのを待って、俺はドアを開けた。

「あ、ゲオルグくん。どうしたの?その格好・・・って今日退院だったっけ」

いつものように、ベッドを起こして座っているなのはは
俺が茶色い陸士の制服を着こんでいるのを見て、俺が今日退院することを
思いだしたようだった。

「そうなんだよ。だから、しばらく今までみたいにちょくちょくは
 会えなくなるだろ?それで、ちょっとなのはの顔を見てから
 行こうかと思ってね」

「そっか、ありがと。座る?」

「うん」

俺はベッドの脇に置かれた椅子に腰を下ろすと、なのはの顔を見た。
前に比べるとずいぶん血色が良くなってきたようにも見える。

「どうだ?調子は。顔色はだいぶよくなったみたいだけど」

「うん。ずいぶん調子は戻ってきたかな。お医者さんからも
 病院の中なら歩き回ってもいいって言われてるし」

「そっか。なのはも再来週には退院だもんな」

「予定ではね。でも、予定はあくまで予定だから」

そう言ったなのはの表情にはちょっと陰りが見える。
もともとは1か月の予定だったので、俺となのはは同時に退院する予定だった。
だが、回復が予想よりも遅れているためになのはの退院予定が2週間伸びたと
数日前に見舞いに来たフェイトから聞かされていた。

「まあ、焦ることはないよ。今まで忙しかったんだし、
 ちょっと長い休暇だと思ってゆっくりすればいいよ」

「ありがと。でも、休暇にしては退屈すぎるんだけどね」

なのははそう言ってさっきまで読んでいた本を持ち上げて見せる。
ベッドサイドのテーブルにはなのはが入院生活中に読んだ本が
うず高く積まれていた。

「今度来るときはなんか面白そうなもんを持ってくるよ」

「うん。お願い」

俺は部屋にかけられた時計に目を遣る。

「じゃあ、そろそろ行くよ。シンクレアを待たせてるから」

「そうなんだ。じゃあ、早く行ってあげないとかわいそうだね」

そう言うなのはの顔は穏やかではあるが少しさみしそうに見えた。

「また時間を作ってちょくちょく会いに来るよ。ヴィヴィオも連れてさ」

ヴィヴィオは2週間ほど前に退院していた。
もともとレリックとの融合による影響がないか調査するための
検査入院だったらしい。
今はアイナさ
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