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星河の覇皇
第八十三部第二章 撤退の果てにその五十二

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「エウロパにも渡すのです」
「そうですね」
「はい、ですから」 
「今の様に動いていますね」
「そうです、ですから」
「我々としては」
「そのジャバル副主席に対して」
 八条はさらに話した。
「対策を講じてです」
「技術を渡さないことですね」
「そうします、流石に覚えたことを」
 マウリアの者達がというのだ。
「マウリアに戻って出すことはです」
「それは、ですね」
「防げませんが」
 それでもというのだ。
「我々としては」
「それでもですね」
「技術の流出を最低限に抑える」
「それだけで、ですね」
「大きいです」
 そうだというのだ。
「実に」
「流出を最低限に抑えますか」
「そうしましょう、水道もです」
 その水もというのだ。
「一気に出すよりもです」
「最低限にした方がいいですね」
「出る量は、ですから」
「この度はその水道の蛇口の様に」
「抑えていきましょう」
 その出る量をというのだ。
「その様にしていきましょう」
「国防省にしても」
「そして各国の国防省にもお話して」 
 そうもしてというのだ。
「ひいてはです」
「中央政府そして各国政府でもですね」
「情報を出さない様にしましょう」
「渡さない様にもして」
「そうしていきましょう」
「それでは、しかしまことにジャバル副主席は」 
 バールはといだ生卵の中に入れた牛肉、すき焼き用のしかも高級な霜降りのそれを食べつつ八条に話した。
「油断ならない御仁ですね」
「同盟国といえど国益の為には何でもする」
「そうした御仁ですね」
「私もそう思います、それに」
「それにといいますと」
「執念があります」
「執念ですか」
「怨念と言っていいかも知れません」
 そこまで言っていいものがあるというのだ。
「あの御仁にあるのは」
「怨念ですか」
「アウトカースト層の」
「虐げられた者ですか」
「マウリアの中において」
「アウトカースト層は」
 この階級についてだ、バールは話した。
「マウリアでは徹底的に虐げられてきましたね」
「市民権もなく」
「そして社会もでしたね」
「マウリアにありながら」
 彼等の世界がというのだ。
「そうでした」
「全くの別社会でしたね」
「マウリアにあるもう一つの社会でした」
「例え同じ街にいても」
「高級住宅街とスラム街の違いなぞです」
 連合にもこうした区分はあるがというのだ。
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