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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第78話:No.13
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ってんだ。んなことできるわけないだろ]

[《ですが、このままではマスターは殺されてしまいます。
  お忘れですか?マスターの身体は満足に戦える状態ではないんですよ》]

[・・・俺に姉を斬り殺せってのか]

[《あれは戦闘機人です。マスターのお姉さんに瓜二つですが、
  お姉さんではありません》]

[んなことお前に言われなくても判ってる!でも・・・]
 
[《マスターが倒されれば恐らくこのアースラにいる全員があの戦闘機人
  によって殺されます。それでもいいのですか》]

[良くねーよ。良くねーけど・・・でも]

[《マスターにはなのはさんとヴィヴィオさんの帰る場所を守る
  責任があるのではなかったのですか?それを放棄すると?》]
 
[んなこと言ってねーだろ。でも、なにも殺すことは・・・]

[《マスターが万全の体調ならそれも可能でしょう。ですが、今はそうでは
  ありません。もう一度言います。非殺傷設定の解除を》]

そうこうしているうちに、戦闘機人はデバイスを構えて俺の方に
突っ込んでくる。
俺はと言えば、身体のあちこちが悲鳴を上げていて、もう長く戦える状態で
ないのは明らかだった。
戦闘機人は俺の胸を狙ってデバイスを突き出して迫ってくる。
俺は決断を迫られた。

「ちっくしょぉぉぉぉぉっ!」

次の瞬間レーベンが戦闘機人の胸に突き刺さり、赤い液体がレーベンを伝って
滴り落ち、通路の床を赤く染めて行く。

「・・・ちくしょう・・・ゴメン・・・姉ちゃん・・・」

動きを止めた戦闘機人からレーベンを引きぬくと、戦闘機人はその場に
ばたりと倒れ、ぴくりとも動かなかった。
俺は、レーベンを振ってついた血を吹き飛ばすと、待機状態に戻す。
そして、うつぶせに倒れた戦闘機人を仰向けにさせる。
最後まで感情らしい感情を見せなかったその目は見開かれたまま
光を失っていた。
俺はその目を閉じさせてやると、両手を血まみれの胸の上で組ませ、
ゆっくりと立ち上がった。
脇を見ると、戦闘機人が使っていた剣型のデバイスが無造作に転がっていた。
俺はそれを拾い上げると、先ほど組ませた両手に握らせる。
そして、俺はもう動かなくなった戦闘機人の側でじっと自分の決断の結果を
目に焼き付けようと、血まみれの身体を見つめていた。

しばらくして、閉鎖されていた隔壁が開いて隣の区画でガジェットと戦っていた
交替部隊の面々が駆け寄ってくる。
が、血で真っ赤に染まった通路にぎょっとした顔をすると、
少し離れたところで立ち止まってしまった。
やがて、分隊長の1人がゆっくりと俺の方に近づいて来る。

「副部隊長・・・。大丈夫ですか?」

「ああ。戦闘機人は始末した。もう大丈夫だ」
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