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第二話 来訪その十四

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「怪しいことはない」
「まあ元高野山におったと言うとくわ」
「高野山、お坊さんか」
「高校もそっちや、今は休学中やけどな」
「そうなのか」
「まあそれでやな」
「ああ、神威のところにだな」
 空汰にあらためて言った。
「これからだな」
「行こな」
「二人でな」
 こう話してだった。
 封真と空汰は一緒に神威の部屋の前まで来た、そうして部屋のチャイムを鳴らしたが応答はなかった。
 それでだ、空汰は言った。
「おらんみたいやな」
「そうだな」
「それならしゃあないな」
「機会をあらためてな」
「また来ような」
「そうするか」
 封真は空汰の言葉に頷いた。
「ここは」
「ああ、しかしな」
「しかし。どうしたんだ」
「いや封真さんな」
 空汰は彼を横から見てあらためて話した。
「随分と気配がちゃうな」
「気配が?」
「只者ちゃう感じがするわ」
「いや、俺は別に」
 封真は眉をわずかに曇らせて空汰に答えた。
「確かに力や運動神経はいい方みたいだが」
「それでもかいな」
「別にだ」
 これといってというのだ。
「おかしなところはだ」
「ないんかいな」
「そのつもりだ」
 こう空汰に話した。
「別にな」
「そうなんかいな」
「そうだ、別にだ」
 これといってというのだ。
「俺はな」
「そやねんな」
「普通に高校生としてな」
「過ごしてるんやな」
「そうだ」
「そうなんやな、けどな」
 空汰は笑ってこんなことも言った。
「力強くて運動神経ええんやったら」
「それならか」
「阪神に入ってな」
 この愛すべきチームにというのだ。
「四番サードになってくれへんか」
「阪神にか」
「そうしてくれるか」
「いや、俺はヤクルトファンなんだ」
 封真は空汰に申し訳なさそうに答えた、二人で神威の部屋の前を後にしてアパートの階段を共に降りつつ話した。
「東京生まれの東京育ちでな」
「それでかいな」
「東京のチームということもあって」
 ヤクルトがというのだ。
「野球はそっちなんだ、ただ妹は阪神ファンだ」
「そうなんか」
「父さんもな」
「自分だけヤクルトファンか」
「家じゃな、それに俺は野球はしていないだ」
 封真はこのことも話した。
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