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星河の覇皇
第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその十

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「強敵と戦うとな」
「その分損害は大きいですね」
「そうなりますね」
「どうしても」
「それが避けられないですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「弱い敵なぞな」
「一蹴しますので」
「こちらの損害は少なく」
「敵の損害もですね」
「すぐに逃れるので」
「必然的に少なくなる」
「双方共そうなりますね」
「獅子は鼠にも全力を出すが鼠相手では傷付かない」
 鼠が獅子を傷付けられる程強くないからだ。
「だが、だ」
「相手が獅子なら」
「自分と同じなら」
「それならですね」
「豹でも同じだ」
 シャイターンの仇名からも話した。
「とにかく強者が強者と戦うとな」
「お互い無事では済まないですね」
「どうしても」
「片方が死に」
「そしてもう片方もですね」
「瀕死の重傷を負っていますね」
「そうだ、そうなっては統一してもだ」
 例えそうしてもというのだ。
「そこからが大変だ」
「国土が荒廃しきり」
「その復興にかからねばならない」
「国家の土台造りの他に」
「それならばですね」
「苦労は倍以上になる、只でさえ創業はだ」
 国家のその時はというのだ。
「厄介だというのにな」
「国家は特にそうですね」
「その創業如何ですね」
「そこでしくじりますと」
「折角統一しましても」
「また分裂してしまう」
 そうもなってしまうというのだ、実際に中国で長い戦乱の後で統一した隋は二代皇帝煬帝の失政で滅亡しており実質的な創業と守成は唐が行った。
「だからだ」
「復興まで手を取られない」
「そうである為にですね」
「この度の戦争は戦禍を最低限に抑える」
「閣下はそうもお考えですね」
「ここまではそれが出来ている」
 国境に攻撃を仕掛けてからというのだ。
「敵の次の防衛ラインに至るまで戦闘はない」
「ティムールの星系を次々に占領しています」
「それも無傷で」
「素通りしています」
「そうした状況です」
「戦禍はありません」
「いいことだ、これが星系の防衛施設に籠られたりすると」
 その場合はというと。
「こちらとしてもな」
「戦わざるを得ません」
「そうして損害を出して」
「一般市民を巻き込む恐れもあります」
「そうなりますので」
「それで、ですね」
「どうしてもだ」
 この戦争はというのだ。
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