暁 〜小説投稿サイト〜
ホモ爺
第四章

[8]前話 [2]次話
「そうした趣味あったんだ」
「俺も知ってるよ」
「奥さんがいてな」
 女の人のだ。
「そしてお小姓さんがだ」
「いたんだよな、愛人の」
「その人とは別に男の人と浮気をしたんだ」
 尚その愛人とは春日源助という、擦れ違った者が思わず振り返る程の美形でありかつ智勇に忠義も備えた人物だった。
「それで身の潔白を必死に言う手紙を書いてな」
「愛人さんに送ったんだな」
「しかし奥さんにはな」
「送ってないんだな」
「勿論奥さんも何も言わなかったらしい」
 男同士のことにだ。
「だから男女と同性はな」
「別か」
「そうだ、俺はそっちの趣味はないがな」
 父はこのことは断った。
「女は母さん一筋だぞ」
「お母さんもその趣味はないけれど」
 母もまた言ってきた。
「それでもよ」
「女の人と付き合ってもか」
「浮気じゃないと思っているわ」
 母にしてもというのだ。
「男の人はお父さん一筋よ」
「それは絶対か」
「何があってもね」
「祖父ちゃんもそれは守ってるんだ」 
 父は息子にまた言った。
「それで付き合ってる人達が納得していたらな」
「ハーレムでもか」
「いいだろ、祖父ちゃんは悪いことをしていないぞ」
「そうか、結婚していたらか」
「異性は一人だ、交際していてもな」
 結婚しておらずともというのだ。
「絶対に、しかしな」
「同性愛はか」
「一緒に進めてもいいしな」 
 男女のそれとだ。
「そしてここは意見は分かれるだろうな」
「何だよ」
「何人と付き合ってもな」
 同性愛はというのだ。
「いいだろ」
「そこはわからないな」
「だが祖父ちゃんはそうした考えだ」
 同性愛はというのだ。
「相手の人達にも話して納得してもらってだ」
「付き合ってるんだな」
「祖父ちゃんは無理強いはしないか」
「絶対にな」
「そもそもあんたお祖父さんを人間としてどう見ているの?」
 母はここではこのことを問うてきた。
「一体」
「人間としてか」
「同性愛はいいっていうなら」
「俺も他の孫も可愛がってくれてるし」
 それでとだ、実篤は母に答えた。
「仕事だって真面目で面倒見がよくてな」
「しっかりした人でしょ」
「公平で常識もあるよ、酒飲んでも乱れないし」
 静かに淡々と飲むタイプなのだ。
「努力してるし暴力も振るわないしな」
「いい人でしょ」
「ギャンブルはしても」
 実はそうした趣味もあるのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ