第五章
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「ちょっと遊ぶだけで」
「のめり込まないでしょ」
「破産する様なこともしないよ」
「そうでしょ」
「立派な人だと思うよ」
孫としてこう言った。
「尊敬出来るよ」
「だったらいいな、男の人達と付き合っていてもな」
父は笑って話した。
「それならだ」
「いいんだな」
「そうだ、人間はな」
「同性愛がどうとかじゃないんだな」
「さっき話した武田信玄さんも織田信長さんもだろ」
その彼等もというのだ。
「問題ないな」
「そうだよな」
「だったらな」
「祖父ちゃんのこのことはか」
「受け入れろ、それもお前の度量だ」
「人間としてのか」
「そういうことだ、わかったな」
息子に微笑んで問うた。
「何も言う必要のないことだ」
「そういうことだな」
「そうだ、女の人は祖母ちゃん一人ならいいんだ」
笑みを強くさせて話した、そしてだった。
実篤はもう何も言わなかった、そのうえで。
春に一家そして縁者で花見に出たがそこでだった。
彦次郎は妻だけでなく今交際している若い男達と共に花見と馳走それに酒を楽しんでいたが常に周囲に気を配り率先して動いてだった。
愛人達にも公平に接して鷹揚で陽気だった、そんな祖父に。
実篤はそっと近寄ってこう言った。
「俺もう祖父ちゃんのハーレムのことは言わないよ」
「おおそうか」
「女の人は祖母ちゃんhと筋でそっちは家族が納得しているならいいし」
実篤はさらに話した。
「それに悪いことでもないから」
「同性愛はな」
「そんなの気にしないよ、むしろ祖父ちゃんのいいところを見て」
そしてというのだ。
「やっていくよ」
「そうか、しかしわしは尊敬するな」
「何でだよ」
「わしよりずっと立派な人達がいるんだ」
彦次郎は実篤に強い声で話した。
「世の中にはな」
「そう言うのかよ」
「自分で自分を尊敬しろなんて恥ずかしくて言えるか」
彦次郎は強い声で言い切った。
「太宰さんも言わなかったぞ」
「恥の多い一生って言ってたな」
人間失格での一文である、太宰は自虐的な面が強くその為に彼の代表作でその作家としての全てを注ぎ込んだ様なこの作品でもそうした一文を書いているのだ。
「そうだったな」
「そうだろ、まあ実際あの人は色々あった」
「心中とか自殺とか芥川賞とか薬とかな」
「そのことがわかっていたからな」
自分もというのだ。
「だからな」
「そんなこと言わなかったんだな」
「それでわしも色々あったからな」
その人生でというのだ。
「言わない、しかしわしを見たいならな」
「いいか」
「それにわしも孫はそうした相手には選ばん」
「それは流石にやばいからな」
「息子や親戚もな」
そうした筋は通しているというのだ。
「
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