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Fate/WizarDragonknight
エピローグ
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の右手を抑える。
 あの時、トレギアの命を奪ったその感覚は、まだ手にはっきりと残っている。
 数秒。その沈黙で、皆はそれを理解した。

「お前……」
「……ふうっ」

 ハルトは見上げて、大きくため息をつく。ラビットハウスの蛍光灯を目を細めながら見上げていると、ふと見滝原中央駅での出来事が思い起こされた。

「……! そうだ、あの子……! トレギアのマスターの……アカネちゃん、だったっけ? 彼女はどうなったの?」

 ハルトの質問に、仲間たちは互いに顔を見合わせる。

「あの子は……」



 ハルトは、仲間たちが看てくれている。
 だから友奈は今、アンチ、アカネの見送りに来ていた。
 見滝原東駅。中央駅が使用できない今、見滝原で一番大きなターミナル駅は、この駅ということになる。
 この場所では見たことないくらいの人ごみの中、時計台のところで、友奈はアンチ、そして彼女の生みの親であるアカネとともにいた。

「……アンチ君、大丈夫?」
「ああ」

 片目を失ったままのアンチは、友奈に答える。
 怪獣といえども、失った目を取り戻すことはできない。右目を包帯にしたまま、アンチは友奈を見返している。

「お前には感謝している」

 表情にはほとんど変化がない。
 それでも、彼の感謝を友奈は親身に感じていた。

「お前が俺を助けた。だから俺が、新条アカネを助けることができた」
「えへへ。ありがとう」

 友奈はにっこりとほほ笑みながら、アンチの頭を撫でる。

「そういえば結局、アンチ君のこと、わたしあんまり知らないままだったね。もう少し、アンチ君のこと教えて欲しかったかも」
「それは次の機会にしなさい」

 ピシャリと、その声が友奈とアンチに刺さる。
 振り向けば、ガンナーのサーヴァント、リゲルが腕を組んだまま歩いてきていた。彼女の傍らには、そのマスターである少女もいる。

「えっと……鈴音(れいん)ちゃん、でいいんだよね?」
「はい。結城友奈さん」

 柏木鈴音と自己紹介した少女。
 おそらく友奈と同年代であろう少女は、友奈とともにいるアンチ、およびその背後で立っているアカネへ、それを手渡した。

「私が手配したのはここまでです」

 鈴音(れいん)が手渡したそれ。アカネがその封筒の中を確認すると、中から長方形の紙が出てきた。
 裏が真っ暗のそれは、行先が見滝原から遥か遠くに指定されたチケットだった。

「これは……?」
「新幹線のチケットです。新条アカネさん」

 鈴音へ、アカネは怪訝な顔を浮かべた。

「見滝原を出ていくように言われた時も思ったけど、どうして私が見滝原を出て行かないといけないの? もう参加者じゃないのに」
「理由は三つ。一
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