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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十五話 アムリッツァ星域会戦(前)
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が見られると言うのですが」
「どの方向だ?」
「我々の針路からだと五時方向になります」
「小惑星帯だな…副長は知っているのかな」
「航海長の口ぶりだと報告するか迷ってらっしゃる感じでしたが」
「迷うほど微かな反応なのか」
「さあ、そこまでは…」
「…全艦戦闘配置、総員だ!急げ!」
「え?でも、戦闘配置は哨戒直の権限外では…」
「それがどうした!第十一艦隊みたいになりたくなかったら、つべこべ言わずアラートを押せ!」
まったく!敵地なんだぞここは!…小惑星帯なんて、行方の判らない敵艦隊が隠れるにおあつらえ向きの場所じゃないか!おまけに位置が怪しすぎる。我々から見て右後方だと?絶好の襲撃位置だぞ!…早く副長、艦長は来ないか…?
「何があった、大尉」
「艦長…第五周回軌道、小惑星帯ですが、熱源を感知しました。位置関係からいって襲撃待機中の敵ではないかと判断しました。もし敵だったとして現在位置の我々を逃しますと、もう敵には奇襲のチャンスはありません。その予測から、越権行為ですが戦闘配置をかけました」
「確実か?」
「…小官は、逃げ足は一級、との自負があります。逃げ…いや、転進の余裕は失いたくありません」
「了解した。副長、分艦隊旗艦に通報、敵発見、第五周回軌道…艦隊針路から見て五時方向…おい、距離は?」
「約三百五十光秒です」
「よし、通報しろ」
「…旗艦、了解。全艦の運動を電算機管制に切り替える、との返信です」
副長のガットマン少佐は艦長からの命令より早く通信の用意をしていた様だ。でなければこんなに早く返信がある筈がない。
「艦長、引き続き分艦隊旗艦より伝達、艦隊全艦百八十度回頭、悌形陣とする。以上です」

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