私だけ?
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く。
「よしっ!」
可奈美が拳を握る。
さらに、響と友奈は互いに相槌を打って、飛び上がる。絶唱と満開の力により通常時とは比べものにならないほどの機動力を持つ二人は、左右からイリスを挟み込んだ。
「我流・特大激槍!」
「満開! 勇者パンチ!」
二人の手には、それぞれ巨大な槍と拳が生成されていく。それぞれのより強い力は、イリスの胴体を同時に貫いた。
イリスは悲鳴を上げる。だが、即座にその傷も再生されていき、逆に現れた触手が二人を薙ぎ払う。
「まだまだだよ!」
だが、そんな中でも、友奈の声は大きく響く。
イリスの触手を殴り飛ばし、その頭上に跳び上がる。
「もう一発! 満開勇者パーーーーーンチ!」
イリスの頭を握りつぶせるほどの、巨大な銀色の腕。友奈の意志の通りに動くそれだったが、それよりも先にイリスは体を捻る。
さらに、まだそんな運動能力があったのかと驚愕したくなるほどイリスはその足を蹴り上げた。
友奈の満開による装備を破壊し、友奈をそのまま響の隣に叩き落とすイリス。
イリスは更に、胸の結晶体より光を放つ。
一瞬、参加者たちはその光に目を奪われる。
即座にイリスの体内より、黄色の液体が噴射された。
これまでの音や炎とは全く異なる、質量を持ったそれ。瞬時にイリスを覆い、可奈美たちの攻撃は泡状の液体に阻まれ、本体に通じない。
「何これ!?」
それどころか、液体は可奈美の千鳥、響と友奈の拳に張り付き、さらには周囲の駅ビル構内にも広がっていく。徐々に広がるそれは、可奈美たちの力を奪い、イリスの体に燃え続ける炎を消火していく。
「取れないよ、これ!」
「これは一体……熱っ!」
それは、響の悲鳴。
泡状の液体が、響のガングニールの装甲を溶かそうとしているのだ。実際、まだフォニックゲインと呼ばれるエネルギーが盾となっているのだろう。
「これもしかして……!?」
「私たちの力を吸い取ってるよ!」
可奈美も、その正体に気付いて慌てて千鳥の泡を切り払う。
だが、泡はすでに駅ビル構内を埋め尽くさんとばかりに広がっていく。乗り捨てられた電車車両は液体によって浮かび上がり、ホームに設置されていた物は転がっていく。すでに、一歩動けば、相当な量の液体がこびりついてしまうほどに、駅構内は液で充満していた
「これじゃあ動けない!」
だが、そうやってハンデを背負うのは、可奈美たちだけ。
自由に動けるイリスは、より攻撃の手を強めてくる。より広範囲の空間を触手が占めていく。
動きを封じられた三人は、そのまま黄色の超音波メスをまともに受けてしまった。
人間だろうが鉄骨だろうが、容易く切断できる威力のそれ。三人は吹き飛び、黄色の液体の中
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