私だけ?
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のマスター。
そういえばと、可奈美は先ほど言われたその単語を思い出す。
友奈と響は、同時に龍騎を追いかけようと踏み込む。だが、イリスの超音波メスが二人を同時に貫いた。
「友奈ちゃん! 響ちゃん!」
背後の壁まで吹き飛んでいく二人に呼びかけた可奈美の目前で、イリスが触手の先端を開く。
「ディアボリックエミッション」
だが、事態は安息を求めない。
頭上から、キャスターの声がそれを告げる。
広がっていく球体が、イリスに被弾し、火花を散らしていくが、それでもイリスへのダメージは少ない。
イリスは体を大きく捻らせて、無数の触手でキャスターの体を薙ぐ。
その余りの速さに、キャスターは魔法陣でそれをガード。だが、魔法陣ごとキャスターは吹き飛ばされ、地面に追突。さらに、その上に無数のコンクリート片が雨のように降り注いでいく。
「キャスターさん!」
可奈美が叫ぶ。
だが、彼女の心配をしている場合ではなかった。
祭祀礼装を失い、写シの防御力のみでは耐えられない威力のプラズマ火球。
それが、可奈美の目の前でどんどん大きくなっていった。
「あ……あ……っ!」
徐々に大きくなる火球。その赤い光に照らされ、可奈美たちの体が、赤一色になる。
そして。
___どうか安寧な記憶を___
それは、突然の変化。
天井から覗ける雨模様に発生する、空間の歪み。雨のカーテンに、一か所だけ穴が開いた。
そこから落ちてきたのは、黒い六つの機械。それぞれひし形に近い形をしており、それぞれの内部は赤い輝きを灯していた。
それぞれ、合計六つの機械は、そのまま可奈美たちの前に広がっていく。それぞれの間には水色の光が走り、正六角形を描き出す。
その内側は、それぞれの対角線の合間を白い光が行き交う。
プラズマ火球が命中、高温がぶあっと可奈美を包んでいくが、その火炎弾は決して可奈美に届くことはない。
そして。
プラズマ火球が、可奈美の目と鼻の先で打ち消されていく。
火の残滓の中、可奈美の前に音もなく着地した者。それは。
「大丈夫?」
ボブカットで髪を切り揃えた、くりくりとした目の少女。
彼女は笑顔を浮かべて、可奈美へ手を差し伸べた。
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