暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
確率
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ており、まるで試合が決まったかのような印象を与えていた。
















(次は要注意人物の桜井……ここはスプリットから入ってみようか)

打たせて取ることも考えていたリュシーだが、マウンドの少女が三振を取りたがっていることを肌で感じ取った彼女はそれを叶える配球を見せる。そして初球スプリットは頭になかったのか、桜井はタイミングが合わず空振り。

(もう一球行くか)

続けてスプリット。しかしこれは浮いてしまい痛打。ただ、タイミングが速かったこともあり三塁側スタンドへと入るファールで逃れる。

(危なっ。入るかと思った)

ホームランを打たれようと点差があるため気にする必要もないが、彼女がこのチームの軸であることは十分に把握している。そんな彼女に打たれたら勢いに乗せかねない。

(速い球で行くべきか?でもまだタイミングが速いしストレートじゃ合うか……)

しばらく思考したリュシーはサインを出すと同時に腰を上げる。それは高めのボール球を振らせるための動作。

(力勝負?いいの?)
(ストレート狙いならこれも振るかもしれない。しっかり投げきれよ)

ニコニコの笑顔で投じた三球。そのボールが手から離れた瞬間、桜井もリュシーも目を見開いた。

カキーンッ

快音を残した打球は高い弾道でレフトの頭を越えていく。フェンスから跳ね返った打球を処理したレフトがすぐさま内野に返すが、桜井は既に二塁ベースの上にいた。

「ありゃりゃ」
「ソフィ!!」

三塁のバックアップにいた少女が頭をかきながらマウンドへ戻る。そんな彼女にリュシーが怒声をあげたが、彼女は気付かないフリをしてマウンドへと逃げていった。

(なんでこんなにいいボール投げてたのに最後投げきれないのかな……)

深いタメ息を漏らしながらマスクを拾う。その頭の中はここからの攻め方と今の投球のことでグチャグチャになっていた。

(あのランナーは返してもいいから定位置でいいとして……そもそも三振狙いにいってあんな真ん中投げないでよね。全くーーー)

そこまで来て彼女は何かに気が付いたように顔を上げる。そのままベンチへ目を向けると指揮官と目が合った。

(なるほど、そう言うことね)

右手で丸を作って見せるリュシー。それを受けたカミューニは両手で大きな丸を作って返した。

(よし……まずはこのピンチを切り抜けるとしますか)

マスクを被り直した少女は相手ベンチからのサインを確認した後、ソフィアにサインを送る。

(お姉ちゃん怒ってない?情緒不安定だなぁ)

さっきまでの怒っていた彼女から一転して落ち着き払っているその姿に違和感を覚えたものの、気にすると負けだと思い投球に入る。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ