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展覧会の絵
第一話 キュクロプスその十
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 それが何かとまでだ。十字は述べた。
「罪人の血によってなんだ」
「その悪人の」
「悪は裁かれ罪人は処刑されるものだから」
 その血によってだ。月が赤くなるというのだ。
「だから赤くなるんだよ」
「それでなんだ」
「じゃあ一段落ついたらね」
 また絵の話になる。そしてだった。
「帰ろうか」
「うん、それじゃあね」
 絵の話に戻ってだった。十字は描くことをきりのいいところで終えて。
 そのうえで教会に戻った。そしてその夜は。
 赤だった。まるで血が混ざった様な。その赤い満月の下でだ。
 十字は白く丈の長い法衣を着て教会の礼拝堂にいた。その法衣は色は白だが枢機卿のものだった。本来は紅である筈の枢機卿の法衣を着てだ。
 帽子だけ被ってはいない。その姿で礼拝堂の主の前に跪いてだ。祈りを捧げていた。祈りを捧げてからだった。
 彼は立ち上がった。その背に初老の神父が声をかけてきた。
「今からですね」
「はい、行って来ます」
「今宵もまたですね」
「罪が裁かれます」
 彼に背を向けたままでだ。十字は答えた。
「その為に行って来ます」
「わかりました。それではです」
「留守をお願いします」
 夜の礼拝堂には灯り一つ点けられていない。窓から差し込む月の光に照らされた中で彼等は話をしていた。そしてだ。その中で十字は神父に言ったのである。
「僕がいない間は」
「ではそうさせてもらいます」
「それでは」
 神父と話してからだ。十字は礼拝堂から姿を消した。まるで夜の闇の中に影が消える様に。そしてその次の日にだ。
 あるならず者国家と癒着している市民団体の者達の無残な屍が発見された。それはだ。
 ラブホテルでだ。そうなっていたのだ。
 捜査の警官達はその無残な骸を見てだ。顔を顰めさせて言うのだった。
「今度はこの連中か」
「どうやらここで麻薬をやりながら乱交パーティーでもしていたみたいだな」
「前からこの連中が麻薬の密売もしていたとは聞いてたがな」
「それで水面下で捜査をしていたが」
「尻尾掴む前に殺されたな」
「そうだな」
 こうだ。その彼等を見ながら話すのだった。見ればその屍達はだ。
「生きながら喉を切り裂いたな、これは」
「そこから手を突っ込んで肺を潰したか」
「こんなの普通はしないぞ」
「しかもだ」 
 他にもあった。それは。
 ホテルの浴槽の中にだ。全身の皮膚が爛れた無残な骸もあった。それはだ。
「熱湯の中に放り込んだな」
「沸騰した湯に一気にですね」
「これはかなり酷いな」
「肌がずる剥けだぜ」
 沸騰した熱湯に入ればそうなる。そういうことだった。
 その他にもだ。無残な遺体
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