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仮面ライダーAP
第11話 好きにしやがれ
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ッ!」
「ライダァァァァアッ! パァァァァァァンチィッ!」

 やがて、交差する互いの拳は。双方の腕を掠め、倒すべき仇敵の顔面に炸裂した。
 強烈な衝撃音が響き渡り、両者の仮面が同時に砕け散る。上杉蛮児とジャック・ハルパニアの素顔が露わになったのは、その直後であった。

「ぐ、ぉお、あッ……!」
「が、ぁあぁッ……!」

 この瞬間、USAのスーツは活動限界を迎え、ただ重いだけの鎧と化してしまう。それと同時に、ギムレットの変身も強制解除されていた。互いの拳をぶつけ合った男達は、力無く膝から崩れ落ちてしまう。
 もはやどちらにも、戦える力は残っていない。それどころか、指1本すらも動かせない状態となっていた。

 だが、それで構わないのである。決着なら、もう付いているのだから。

「……まだ、足りんか?」
「ハッ……馬鹿、言えよ」

 ジャックの言葉を鼻で笑い、やり切ったと言わんばかりの貌で空を仰ぐ蛮児の眼には、もう抵抗の意思はない。そんな彼の様子を見下ろしながら、正信は粛々と手錠を取り出していく。
 今さら、無駄な問答をすることもない。この場での「対話」ならすでに、「拳」で語り尽くしているのだから。

「……気は済んだ、ということでいいな? 上杉蛮児、ノバシェードのテロに関与した容疑でお前を逮捕する。これからは馬鹿だろうが阿呆だろうが、口で語ることも覚えてもらうぞ。法廷の前でくらいはな」
「そうかよ。……好きにしやがれ」

 しかし、これからはそうはいかない。そんな厳しい言葉をぶつけて来る正信を見上げ、蛮児は観念したような笑みを溢すと、手錠による拘束を受け入れていく。
 その様子を静かに見守っていた幸路は、爽やかな微笑を浮かべながら。彼の健闘を称えるかのような声色で、独り呟いていた。

「好きにしているさ。僕達は、いつもな」

 そして、イグザード達も見守る中。上杉蛮児の太く逞しい両手首に、手錠の輪が嵌められた瞬間。
 彼も武田禍継と同様に、「人」としての裁きを待つ身となるのだった。

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