戦士の日常@
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ーガイネス戦役 対四天王戦ー
「さてと、行きますか」
空の色を限りなく薄めたような色の長髪の女性、ブリュンヒルト中佐が魔弾を待ち構える。
デッドライダーが放った魔弾は速度を増しながら、一直線に中佐の方へ進んでいる。
それを、わざわざ自分から動くまでもないという風に、この場に相応しくないほどの上品な佇まいで待ち構えていた。
そして、巨大な球体は、ほぼ目の前まで迫っていく。
「そんなに慌てなくてもいいですよ」
屋敷で貴族が使用人に話しかけるような口ぶりで言い、そっと地面に手をついた。
「『天を穿つは氷雪山(Blizzard Lost Sky)』」
突如、地面から出現した先端を尖らせた氷塊が、天に突き刺すような勢いで、巨大な魔弾を真っすぐに貫いた。
(本来、氷魔法は炎魔法よりも攻撃に使いずらいはずだが、ここまでの威力を出すか。まったく、余計なことをしてくれる)
勇者は遠くの後ろから、心底厄介そうな面持ちで眺めていた。
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【アルフレート視点】
ー軍本部ー
先の戦争の後日、俺は軍の本部を歩いていた。
その最中、廊下で女性とすれ違った。
「アルフレート少佐、あれって何が書いてあるんでしょう?」
俺を呼び止めたのはブリュンヒルト中佐だ。
壁にある張り紙を指して尋ねる。
「えっと、あれは...」
張り紙に書いてあった文字を読み上げた。
「そうですか、ありがとうございます。」
中佐が穏やかな口振りで言う。
でも...
「あの、目が良くないんですか?」
単純に気になって聞いてみた。
「ええ、そうですよ。」
「なら、普段はどうしてるんです?何も分からないんじゃ...」
ここから張り紙までの距離はそう遠くないし、書いてある文字も小さくはない。
「何かは見えてるんですよ。つまり、視界にある色や大きさから造形を組み立てれば問題はないんですよ。」
中佐は得意げに微笑んで答えた。
「いや、でも、眼鏡は掛けないんですか?」
「え?だって、そんなの似合わないじゃないですか。」
中佐は当たり前のようにそう言った。
「それでは」
中佐は穏やかに微笑んで、どこかへ行った。
(よくわからない人だったな。
....よし、俺も勇者に負けないように、特訓するか)
そして少年は、剣を持つために訓練場へと向かった。
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