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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
燃える極東 その2
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出すと同時に手の甲に付いた球体も、煌めきを増してゆく
周辺に広がっていく強烈な閃光……
ゼオライマーの必殺技・メイオウ攻撃
その刹那、一筋の光線が地表に向かって通り抜けると、爆風が吹き抜ける
強烈な吹き上げ風が機体に覆い被さり、破片が宙を舞う
 依然として距離を取り続ける戦術機部隊……
空調を利かせた操縦席に座りながらも、操縦桿を握る手まで汗ばんで来た
何とも言えぬ興奮に身震いしているのであろうか、そう思う
この様な形で、生の喜びをありありと実感するとは……
思わず、不敵の笑みを浮かべる
 やがて東の空が(しら)み始めると、攻撃の惨禍(さんか)が表に出始める
塵一つなく戦車隊が消え去った機体周辺……
その様子を上空で見ながら、マサキはコックピットの中で哄笑した

 ゼオライマーに突如襲撃された市内は、混乱の嵐に包まれた
われ先にと逃げ出す党関係者とその家族、役所や国営企業など公共施設の職員……
最初の頃は交通警察と内務省(MVD)軍将校が検問をしていた
だが直ぐに溢れて、(とどこお)りを見せ始める……
 制御を失った市民は、次第に順番争いの為、乱闘騒ぎをはじめた
遠目でその様子を見ていた軍に持っていた家財道具を投げ始めるものが出始めると状況は一変する 
 混乱するMVDと警察の対応を見かねてであろうか、何処(いずこ)より現れた応援部隊
彼等は、KGB直属警備隊の制服を着こみ、数台の重機関銃を引っ張って来た
 隊長と(おぼ)しきKGB少佐の制服を着た男が飛び出してくると、周囲を見回す
一通り現場を確認した後、こう告げた
「こうなっては仕方が有るまい。非常手段に出る」
付近を警備する内務省軍将校や警察幹部が集められ、KGB少佐からの檄が飛んだ
(よろ)しいか、諸君!たとえソビエト市民と言えども躊躇(ちゅうちょ)してはいかん。
ここでの敗走を止めねば、我が軍は何れや崩壊するであろう。只今より、配置に付け」
小銃を槊杖(さくじょう)で簡単に手入れした後、弾倉を付ける
迫撃砲には弾が込められ、ベルトリンクが付いた重機関銃の槓桿(こうかん)を勢い良く引く
「一斉射撃!」
雷鳴の様な音が周囲に響き渡ると同時に、濛々(もうもう)と立ち上がる白煙と粉塵
降り注ぐ弾丸によって避難民の群れは、忽ち阿鼻叫喚(あびきょうかん)(ちまた)と化した

 噴煙が晴れると、斃れた人の群れから唸り声が聞こえはじめる
マカロフPM拳銃を持ったKGB少佐は、歩み出るとこう叫んだ
「これより、反革命分子を処断する。部隊は前へ」
横たわる屍の大部分は五体(ごたい)のどこかを失っており、僅かに息の有るものもそうであった
()って逃げ出そうとする者を見つけるや否や、件のチェキストは銃を向ける
自動拳銃の遊底(ゆ
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