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無念を乗り越えて
第四章

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「今年は阪神が優勝するからな」
「何言ってるの、カープよ」
 二人共お雑煮を食べつつ話した、餅が実に美味い。
「私厳島でお願いしてきたから」
「僕は西宮でしてきたぞ」
「それ去年もじゃない」
「それはそっちだろ」
 二人で食べつつ言い合う。
「それで今年こそか」
「そっちこそね」
「言ってくれるな、今年の阪神は無敵だぞ」
「何言ってるのよ、無敵はこっちよ」
「今年は寅年だぞ」
 寿は切り札を出した、つもりだった。
「それならだ」
「その寅年に何回日本一になったのよ」
「一回だ」
 寿は妹に正直に答えた。
「悪いか」
「たった一回じゃない」
「そう言うそっちは干支にないだろ」
 このことを言うのだった。
「そうだろ」
「鯉は滝を登ったら龍になるけれどね」
「それじゃあドラゴンズだろ」
「確かにね、けれど虎は食べられないでしょ」
 千佳は負けじと言い返した。
「鯉は食べられるのよ」
「しかも美味しいか」
「そうよ、だからカープの方が上よ、だからね」
 その為にというのだ。
「今年はよ」
「カープ優勝か」
「残念だったわね」
「そう言って去年優勝しなかっただろ」
 寿は怯まず即座に反論した。
「そうだろ」
「それはそっちもでしょ、いつも夏以降弱くなるのに」
「今年から違うんだよ」
「どうだか。こっちは強い時は夏も強いのよ」
「そう言って最近優勝してないだろ」
「今年からまた優勝するのよ」
 こう言い合いつつだった。
 二人はお雑煮を食べた、そして。
 ふと観たテレビの新年の番組にだった。
 巨人ファンで有名なタレントがいた、寿はそのタレントが今年は巨人が優勝と笑顔で言っているのを観てだった。
 瞬時に不機嫌な顔になりこう言った。
「そんな筈ないだろ」
「そうよ」
 千佳も不機嫌な顔で言った。
「巨人の優勝はないだろ」
「そんなこと絶対にないよ」
「巨人なんか補強だけでしょ」
「他のチームから選手掠め取るだけじゃないか」
「それで本物の強さはないわよ」
「ちゃんと育成しないと勝てないぞ」 
 二人で言っていく。
「そんなチームに負けるか」
「お金があればいいってものじゃないわよ」
「巨人よりソフトバンクの方が強いだろ」
「もう巨人の時代じゃないのよ」
「そんなチームに負けるか」
「ふざけたこと言うんじゃないわよ」
「お正月だからって浮かれ過ぎだよ」
 おせちを食べつつどんどん言っていく。
「全く、変なこと言うな」
「こんなこと言って恥ずかしくないのかしら」
「元旦からおかしいんじゃないか」
「何が球界の盟主よ」
 そのタレントはこうも言った。
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