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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第三十六話 ダゴン星域の迎撃戦(前)
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ぜ…。
だけど、艦隊司令部はどう考えているのだろうか。敵があの有り様じゃ、確かに敵先頭を叩きたくもなる…烏合の衆です、って言ってる様なもんだからな…先頭を叩けば、敵はかさにかかって攻めてくるだろうとは思う。確かに好機なんだよな。
「第一分艦隊が前に出ます!」
フォークが叫ぶ。正面大スクリーンには艦隊の陣形概略図が映し出されている。本隊の左翼に展開していた第一分艦隊が直進して敵先頭の右翼正方向に進んでいる。
「艦隊司令部より命令、後退止め、全艦微速前進せよとの事です」
フォークが此方に向かって叫ぶ。彼は自分の立ち位置を理解したらしい。カヴァッリ少佐の内務班と我々の間の伝令の様な位置にいる。
「了解した。全艦に指示を送れ」
「はっ」
そうやって自分の居場所を作るんだ、フォーク。頑張れよ。
「少佐、敵が間抜けなら第一分艦隊に舳先を向けるだろうが、敵もそこまで馬鹿の集まりというわけではあるまいし…敵の先頭集団はどれくらいの数だ?」
「はっ、敵の先頭は…概算で千から千五百ぐらいではないかと思われます」
司令の質問に答えている間にも状況が変わっていく。第一分艦隊は横隊に展開しつつ右回頭して、敵の蛇の様になった陣形の右方向から攻撃を始めた。
「あのまま攻撃が成功すれば、頭と胴体を切断する事が出来るな。少佐、艦隊司令部はこの後どうすると思うかね?」
准将は右手で顎を撫でながら大スクリーンを注視している。
「切り離された先頭集団がそのまま此方に向かってくると厄介ですが、後退から前進に切り替えたとすると…敵艦隊の練度が余りにも低そうなのでこの辺りで足止めを図るのではないかと」
「だろうな。では次は我々の出番かな?」
「先に本隊が前進して切り離した敵の先頭に攻撃を開始するのではないか、と推測します。同時に第一分艦隊を後退させて、本隊に合流させるのではないかと」
「では我々の出番は当分無いな。分艦隊全艦に通達、即時待機とせよ」
「了解いたしました…全艦即時待機とせよ!」
命令を出してしばらくすると、食堂当番兵がワゴンテーブルを第一艦橋に運んできた。第一だけではなく、第二、第三艦橋にも同じ様にワゴンテーブルが運び込まれている。ワゴンの卓上にはサンドイッチの山盛りとピクルス…飲物はコーヒーのポットが置かれていた。当番兵が人数分のカップにコーヒーを注ぎ始める。
「気が利くな。ありがとう」
「調理員長からの指示でお持ちしました。戦闘配食(レーション)じゃ皆やる気も出ないだろうと」
にっこり笑って当番兵が下がっていく。中々可愛い子だったな、エリカは今頃どうしているやら…。






8月20日08:30 ダゴン星域中心部、銀河帝国軍、第四〇一任務艦隊 旗艦ノイエンドルフ
ファーレンハイト

 「先頭集団二時方向に敵艦隊、高
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