第三章
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右に左に飛ぶ、判断も動じていない。そして。
麻美子が一点決めた、そのうえですず子が敵の最後のシュートを防ぎ。
「やったわ!」
「優勝よ!」
「予選突破したわ!」
イレブンは抱き合って喜んだ、特に。
麻美子は抱き合うすず子に言った。
「私の思った通りだったわね」
「私はここぞという時になの」
「そう、土壇場でね」
その時にというのだ。
「まさによ」
「真価を発揮するの」
「元々能力は高いし」
それに加えてというのだ。
「集中力があって腹を括ったら迷わないから」
「それでなの」
「もうここぞって時はね」
「私が頼りになる」
「だからキーパーを任せてね」
「この決勝でもなの」
「信頼していたのよ」
そうだったというのだ。
「本当にね」
「そうだったのね」
「だからね」
麻美子はすず子にさらに言った。
「全国大会でもね」
「これからも」
「宜しく頼むわ」
「ええ、それじゃあ」
すず子も頷いた、そうしてだった。
すず子は全国大会でも頑張った、そうして部を支えた。そんなすず子に対して。
麻美子は高校を卒業して受験でもテストでも就職してからもここぞという時に頑張る彼女に言った。彼女も無事大学に進み就職もしたが普通にバランスがよかった。
「ここぞという時に強い」
「そのことがなの」
「そう、一番なのよ。だからね」
それでというのだ。
「あんたはこれからもやっていけるわ、だから自信を持ってね」
「私自信ない方だから」
「そう、そこはやっていってね」
「そうしていっていいのね」
「そう、高校の時も言ったけれど」
すず子にこうも言った。
「あんたはね」
「これからも」
「大丈夫どころか」
それどころかというのだ。
「いざという時に頼りにされる」
「そうした人なの」
「ええ、そうよ」
こう言うのだった、そして実際にだった。
すず子はそれからも土壇場、ここぞという時にこそ真価を発揮してだった。
麻美子の言う通り周りから信頼された。そして頼りにされる人生を送った。
踏ん張りどころで 完
2021・4・6
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