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提督はBarにいる・外伝
提督のBlackOps遍
探り合い
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盗聴器をローテーブルの下に仕掛けるのが目的であった。

「どうぞ」

「ん」

 青葉からワイヤレス式のイヤホンを受け取り、耳に付ける。

『やれやれ、厄介な客だ』

 イヤホンから聞こえる長門の声。小型でも流石は明石謹製、集音性はバッチリだ。

『気付かれたでしょうか?』

『さてな。提督の不在に突っ込まれた時には胆を潰したが、取り敢えずは大丈夫だろう』

 どうやら、長門は提督達に何かを隠しており、大淀もグルになってその『何か』を隠蔽しようとしているらしい。

「あっさりとウタってくれれば楽なんですがねぇ」

「案外ポロッと漏らすかも知れんぞ?」

「その根拠は?」

「ほれ、苦手な上司が居なくなった途端に愚痴溢す……みたいな?」

「あ〜、わかります」

 長門と大淀の会話を聞きつつ、言葉を交わしながら周囲を見渡す。歩いている艦娘達は平静を装ってはいるが、若干頬が痩(こ)けていたり目の下の隈がうっすらと見える者もいる。

「栄養状態がよろしくねぇな」

「ですね。辛うじて最低限の栄養は摂ってそうですが」

 こうなるとこっちが持ってきた撒き餌がかなり効きそうだな、と目論見が当たった事を内心喜ぶ。『衣食足りて礼節を知る』という言葉のある通り、飢えは人から冷静な判断力を奪う。何かしらの機密があったとしても、飢えた状態で食糧をチラつかされれば、全員でなくとも少しは喋る者も出るだろう。

『しかし……厄介な物だ。提督が居なければ艤装にロックが掛かるとは』

『安全装置の一環なのでしょうが、今の我が鎮守府には好ましくない機能ですね』

「む?」

「来ましたね」

 いよいよ本題が聞けるらしい。

『しかし要らんだろう?提督等という存在は。安全な後方でぬくぬくと指示を出すだけの人間など、居なくても変わらん』

『ふふふ、だからこそ貴女を中心にした強硬派が提督を監禁した……そうでしょう?』

『ふん、私の方が有能だと大本営に示そうとしているだけだ。それに……』

『それに?』

『私は男という生き物が嫌いだ』

 秘書艦・長門の突然のカミングアウトに、提督と青葉はずっこけそうになった。







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