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Fate/WizarDragonknight
-恐怖の獣たち-
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いく。

「ああ、その姿になっている時は、人間に憑かなければならないんだったねえ?」

 だが、赤のヒューマノイドは、トレギアの挑発に乗ることはない。じっとトレギアを見つめ、その動きをうかがっていた。

「君のことは知ってるよ。たかだか残滓ごときが、私を止められるのかな?」

 トレギアの挑発に、赤のヒューマノイドは動じない。
 それぞれの距離を保ちながら、互いに足を動かす。
 やがて。
 トレギアの両手から、黒い雷が放たれる。
 それは木々を薙ぎ倒しながら、赤のヒューマノイドへ迫っていく。
 だが、赤のヒューマノイドは両手を組ませる。すると、その体は高速で移動し、いつの間にかトレギアの背後に回り込んでいた。
 そのまま裏拳を放つ赤のヒューマノイド。しかし、トレギアは体を捻らせてそれを避けた。

「ふうん……生憎、今日はもう戦う気分ではなくてね」

 軽い口調を崩さないトレギア。

「君にとっても、面白い相手を用意してあげよう。頑張ってくれよ」

 トレギアはそう言いながら、指を鳴らす。
 すると、彼の周囲に群青色の闇が発生した。徐々に形となっていくその形相に、響は息を呑んだ。

「何……あれ……?」

 一言でいえば、ネズミ。
 人間大のネズミというのも恐ろしいものだが、紗夜が感じた恐怖はそれだけではない。
 醜悪に歪められた顔付き。悪魔のような鉤爪。前屈の体勢と、感情輸入を許さない真っ白な眼。
 その白目が、紗夜を捉える。

「ヒッ……!」

 悲鳴よりも先に、巨大ネズミが襲い掛かる。赤のヒューマノイドが身を挺して庇ってくれなければ、今頃紗夜は真っ二つになっていただろう。
 赤のヒューマノイドは、悲鳴を上げる。言葉にならない声だが、それは明らかに痛みを伴っていた。
 巨大ネズミが吠えると同時に、トレギアはせせら笑った。

「コイツに葬られると、ゾンビになるから気を付けてね」
「ゾン……」
「この怪物に操られるということさ。知ってるだろ?」

 その言葉に、赤のヒューマノイドは動かない。
 ただ、その白い目はじっとネズミの怪物を見つめていた。



「お姉ちゃん! どこ!?」

 日菜の後を追いながら、ハルトは公園を見まわしていた。
 夕暮れ時になり、多くの家族連れが帰り始めている。

「お姉ちゃん!」
「日菜ちゃん、ちょっと待って」

 ハルトの声に、日菜は足を止めた。

「そもそも、お姉さんに会ってどうするの?」
「んー……分かんない」
「分かんないって……」

 ハルトは首を傾げた。
 一人、さっさと去っていった紗夜を追いかけた日菜。そんな彼女と紗夜を、今会わせてはいけないと感じたハルトだったが、彼女は気にも留めない。


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