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とある3年4組の卑怯者
31 友達(ほりこずえ)
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た。みどりが再び悲しみの表情を見せる。結果的にはなんとかババを回避したが。
「よかったね、吉川さん!次は別のやろうか。7並べどうかな?私好きなの」
 堀が提案する。反対はなかったが、堀は泣きそうな表情のみどりが気になってしょうがなかった。
 7並べを行う間、みどりは泣くのは止まったが、沈んだ表情だった。みどりは今度は負けなかった。それどころか1位になれたのだ。
「あの、良かったわね、吉川さん!」
 堀が拍手をしてみどりを祝福した。そして、矢部が口を開く。
「堀さん、随分吉川さんに気を使うわよね。疲れるでしょ?」
「うん、でも私、吉川さん友達いないのが可哀想だから、ここで皆にも仲良くなろうって決めたの。吉川さん、そうよね?」
「は、はい・・・」
「だから、泣いてばかりいないで、皆と仲良くなろうよ!出ないと、ずっと友達出来ないよ!頑張って!」
「堀さん・・・」
 みどりは堀に檄を飛ばされていることに感じた。そして今までを顧みた。そういえばいつも都合が悪くなったり、思い通りに行かなくなると、泣いていた。それで皆から遠ざけられ、友達ができなかったと。さらに堀と友達になるために、泣き虫を治したいと思った。なのに、ここでまた泣いてばかりで皆に迷惑かけている。
(そうだ、私堀さんと約束したんだった。堀さんと共に皆と仲良くなっていくと・・・。だから自分でも泣き虫を治したいと・・・)
 みどりはこれまでの自分から脱却しなければならないことを思い出した。
「そうですね。泣くのをやめます。せっかく堀さんや他の皆さんと仲良くなれるチャンスなのに・・・」
 みどりはハンカチを出して顔を拭いた。
「吉川さん・・・。じゃあ、次はみんなでかるたやろう!」
「おう、いいね!」
 保谷が賛成した。こうしてみどりは堀や他のクラスメイトの輪の中に入れた。かるたでは堀が読み上げ係を担い、皆が取る係となった。みどりは負けてしまったが、泣いてはならないことを思い出し、「負けてしまいました」と照れくさく言った。こうしてかるたをもう一度やって遊んだ。このときは、クラスメイトたちもみどりが堀によって泣き虫を治そうと頑張っていることを見直したのだった。

 こうしてみどり達は帰ることになった。
「みんな、ありがとう。とても楽しかったわ」
 堀は礼を言った。
「こっちこそ楽しませてくれたよ」
 保谷が答えた。
「さよなら〜」
 こうして皆は帰る。途中、みどりは日山に話しかけられた。
「吉川さん、今日は頑張ったのね」
「え、何がですか?」
「泣かないように頑張ったじゃない」
「そうだな、もし泣き虫を治っていけば、堀とも皆とも仲良くなれるぜ!」
 泉野が励ました。
「は、はい、ありがとうございます!あの、皆さん、私も泣かないように頑張りますから、私と友達
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