暁 〜小説投稿サイト〜
モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
特別編 追憶の百竜夜行 其の十二
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
、ビオさんも休んでてくださいよ。そっちこそフラフラじゃないですか」

 ビオ、カノン。

「皆……勝ったんだね。僕もやっと……これで、本当の……仲間にっ……」

 ヤツマ。

「ウツシ……間に合ったんだ、良かった……」
「ハッ……あたしのバスターソードも、すっかりボロボロになっちまったなぁ」
「じゃあ、また新しく作ればいいさ。素材集めくらい、俺がいつでも付き合うよ」
「うーん、おアツいねぇ! じゃあそんな2人の将来に向けて、俺から一曲プレゼントしようか!」
「立てる力も残ってないくせして、何言ってるんですか全く……まぁ、私達もですけど」

 エルネア、イスミ、ディード、ムスケル、フィオドーラ。

 限界以上の戦闘力を引き出す、「反撃の狼煙」の反動なのか。彼ら同期達にはもはや、まともに立てるだけの体力も残っていない。
 この未完成の砦を守り抜くために立ち上がった、29人ものハンター達は、とうにその全力を使い果たしていた。

「だ、大丈夫か皆ッ! まだ生きてるよなッ!?」
「酷い怪我だ……とにかく、急いで手当てを! 勝利を祝ってる場合じゃないぞッ!」
「お、おうッ!」

 やがて駆け付けてきた里守達の肩を借りて、ようやく地を踏めるようになった彼らは、続々と戦場を後にしていく。歓声を上げる余力すらないまま、若者達は笑顔だけを咲かせていた。

「里長……」
「……ありがとう、ウツシ。そして皆も、よくやってくれた。お前達こそ正しく、この里の未来を照らす希望の焔だ。……俺の眼はやはり、間違ってはいなかった」

 己の傷も顧みず、ウツシに肩を貸しているフゲンも。誇らしげに笑みを浮かべ、明けの明星を仰いでいた。

 ――そのあまりの眩さ故に。彼ですら、気付いていなかったのである。

 自分達を崖の上から見下ろしていた、鬼火を纏う怨虎竜の眼光。そして、遥か天空に輝く赫い彗星に。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ